第10話-4 ページ47
「うーん…でも、それなら何で、おさげちゃんから間接的にでもキスをしてきたのか気になるなぁ。…俺からのおさげちゃんに対する好意の確認なら、おさげちゃんからキスを強要する行為も、返す行為も必要無いよね?」
はた、と気づく。
そう言えば、何故わざわざ私はキスを強要したのか。好きなら、キスするはずなのにシて来なかったから?…だとしても、好きじゃないんだ、で終われば良い話だったのに。……まさか。
『…してほしかった、から…?』
自分に問うように、口から溢れ落ちた言葉。無意識の内に、彼に好かれていたいと、彼の愛を離したくないと、そう思ってしまった様で。その事実を思いもよらぬ所で痛感する事になり、羞恥で顔が赤く染まる。
「………それはさぁ、反則だよ」
彼が呟くと同時に、彼の顔が間近に迫る。少し乱暴に顎を引かれ、唇と唇が重なり合う。反射的に顔を引こうとするのを察してか、固定する様に彼の手が頭の後ろに回された。
啄む様に数度唇が軽く触れ合う。驚いて息を漏らすと、それを待っていたかの如く、強く、唇が触れ合う。息が出来なくて、はふ、と口を緩く開けると、すかさず彼の舌が入り込んできた。這うように口内を進み、驚いて引っ込められていた美月の舌を絡め取って、交わり合う。
長く、深く、重く。
美月にとって、一瞬で惚けてしまうほどの、極上のファーストキスだった。
かく、と足に力が入らず、その場に倒れ込みそうになったが、彼の腰に添えられた腕を支えに何とか持ち堪えた。だが、酸欠状態と、唇の甘い余韻で、夢心地な気分から抜け出せない。
一方、キスをしてきた彼は息一つ切れてはいなくて。その様子を目の当たりにして、現実に引き戻され、少し居た堪れない気持ちになった。
『……慣れ、てるの』
聞くつもりはなかったのに、思わず、口から漏れていた。
「…おさげちゃんは、そう思う?少なくとも好きな子とのキスは、今のが初めてだよ。それと…、こんなに余韻の残る深いキスも、ね」
ツ、と彼が指で唇をなぞる。その仕草だけで、先ほどのキスを思い返してしまった。
ゆっくり深呼吸をして、心を落ち着かせる。その間、彼は私の背を摩ってくれていた。
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作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2023年8月20日 13時