第1話-6 ページ42
『ねぇ、さっきの告白だけど…』
彼を見上げると、少し強張った表情をしていた。柄にも無く緊張しているみたいだった。ギュウ、と握る力が強まって、痛い、と漏らすと、ごめんねと返ってきて、手が離された。
『…皆に言わないんなら、付き合っても、良いよ』
「……え。ホント?」
覗き込む様に顔を近づけられて、両掌で押し返した。
「良いの?」
期待と戸惑いが籠ったような瞳で見つめられる。それに応えるように、真っ直ぐ彼の瞳を見つめ返した。
『勝手に言い逃げされるのも、私の気持ち決めつけられるのも嫌なの。霧原をどう思ってるか、どう思うかは、私が決める』
「驚いたな…おさげちゃんは俺の事嫌いだと思ってた」
『…苦手ではあるけど、別に嫌いじゃない。それに、ちゃんとアンタのこと知ってる訳じゃ無いから。…付き合えば、嫌でも知れるでしょ?だから教えてよ、アンタの事』
「…そういう真っ直ぐなところ、おさげちゃんらしいよね」
『褒め言葉として受け取っておく』
「うん、褒めてるよ。そういう考えを持てるおさげちゃんだから、好きになったんだし」
信号が変わって、二人で歩き出す。
先程まで繋いでた掌の感覚が消えなくて、思わず彼の手元を見つめてしまっていた。
「…寂しくなっちゃった?」
視線に気付いたのか、彼が悪戯に嗤うので、『別に』とそっぽを向いた。
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作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2023年8月20日 13時