【オリジナル】おさげちゃんと人誑しくん (ページ4)

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第1話-2-(2) ページ4

白茶色の髪の毛。柔らかな目元に、整った鼻、艶やかな唇。そんな端正な顔立ちに、長身で、シャツ越しにも分かる、引き締まった身体。

抱き合っている一瞬では分からなかった容姿を改めて確認して、『彼があの"人気者"の霧原陽人なのか』と。そう思ったのである。

彼から香る女性モノの香水の匂いが、嫌にキツくて、美月が顔を顰めれば、彼は申し訳無さそうに笑った。

「ごめんね、おさげちゃん」

何に対しての謝罪なのかよく分からなかった。それよりも、「おさげちゃん」と突然呼ばれた事に驚いて、美月は思わず呟く。

『…おさげちゃん?』

首を傾げれば、陽人はくすりと微笑った。

「俺、君の名前知らないし。それに…その髪、よく似合っていたから」

こういう風に女性をオトしてきたのだろうか。

普段男女の色恋など考えもしない美月の頭に、ふとそんな考えが過ぎった。

『…さっきの子は良いの?』

「ん?あぁ…問題無いよ」

その素っ気ない発言を聞いた時は不思議に思ったが、その後、その発言の通り、陽人とその女子は恋人関係でも何でもない、強いて言うなら同学年という事しか接点が無い事が分かった。

彼はその女子以外にも色んな女子と"そういった関係"にあるようで、不運な事に、美月は何度もそういった情事の場面に出会してしまった。

その結果、霧原陽人は『特定の彼女は作らず遊んでいる奴』という最低な人物像が美月の中で構築されてしまったのである。

そうして、学年が1つ上がった新学期早々、美月は陽人と同じクラスになった事を知り、軽く絶望することとなる。

美月は平穏な学校生活を崩される事が何よりも嫌であり、陽人と間接的にでも関わる事で、その生活の中で一番励んでいた勉学に支障を来すのではないかと、危惧せずには居られなかった。

そして、悪い予感は的中し、陽人は美月の事を覚えていたようで、事ある毎に「おさげちゃん」と呼んでは話しかけに来るという状態になってしまった。

美月が嫌がる素振りを見せても、彼の行動は変わらず、最早美月は彼と顔を合わせる度に嫌悪感を露わにする程になってしまったのである。