【オリジナル】おさげちゃんと人誑しくん (ページ30)

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第3話-15 ページ30

そのまま美月は陽人に連れられるがまま店を後にした。人がまばらな方へと通路を歩き、ショッピングモールの中に点在しているベンチに、横並びに腰掛ける。

ふぅ、と一息吐いて、陽人が美月に視線を向けた。

「少し歩かせちゃったよね。足は大丈夫そう?」

コクリと頷けば、陽人は安堵した様子で胸をなでおろし、美月の頭からつま先までを見る。大丈夫だと言ってるのに、と美月はその視線に居心地が悪そうに身を縮こまらせた。すると突然、陽人が美月に顔を近づけてきた。

驚いて美月が離れようとすれば、彼の手が美月の顔へと伸びてくる。距離を詰められ、キスでもされるのではないかと、思わずギュッと目を瞑った。

「……髪、崩れてる」

落ちてきた声はとても落ち着いていて、そっと目を開ける。彼の視線は美月の前髪に向いていて、それをそっと指で撫で上げ、整えてくれていた。そう、伸びてきた腕は＿彼の指先は、優しく髪に触れただけだった。

紛らわしい、と思わず顔を顰めて彼を睨み付ければ、美月と視線を合わせた彼が不思議そうに首を傾げる。

「どうしたの、そんな顔して。…あ。まさかおさげちゃん、俺に何か変なことされると思った?例えば…キス、とか」

陽人は自身の唇を指先でなぞった。その動きと、図星を突かれたことに対し、美月は顔がカッと熱くなるのを感じた。その反応に陽人はクスクスと笑う。ゆっくりと離れていく彼を警戒しながら見つめる。

「安心して。…同意もなしに”そういうこと”はしないから」

そう言って、彼は蠱惑的な笑みを浮かべた。