第1話-2-(1) ページ3
霧原陽人は、誰もが認める"学校の人気者"であり、特に女子生徒から絶大な人気を誇っている。それは、彼の容姿と才能が秀でていたからであり、そこに人誑しな性格も合わさっていたからであった。
そんな"人気者"な彼の存在自体は噂で聞いていたものの、他者との関わりの疎い美月が、彼を実際に認識したのは、高校1年生の冬の事である。
冬季休校前に、休校中に読める本を借りようと図書室を訪れた美月は、目当ての本を探す時に思いがけず見てしまったのである。本棚の隅で、彼が、女子と抱き合っているところを。
相手の女子は美月が居たことに気付いていない様子だったが、陽人とはバッチリ目が合ってしまった。美月は、見てはいけない光景を見てしまったと思った。だが、同時にこんな所で何をしているんだという苛立ちを覚えた。
だが、美月の陽人に対する嫌悪感を募らせた原因はコレだけにとどまらなかった。
その後、女子と別れた彼は、彼らと鉢合わせない様にわざわざ別の本棚に身を隠していた美月を捕まえ、こう言ったのだ。
「誤解しないでね」と。
何を、とは聞けなかった。というよりは、聞きたくなかった。よく知りもしない相手に自ら進んで深掘りする気にもなれなかった。そもそも彼とは初対面で、美月自身も噂程度でしか彼の存在を知らなかったから。
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作者名:シメ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b78ff5dd8c1/
作成日時:2023年8月20日 13時