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34.ありがとう ページ11
｢茜....!!!｣
私は茜ちゃんを抱き締めた。
茜ちゃんが喋った。ちゃんと彼女の意思で、私の顔を見て、声は震えていたが確かに茜ちゃんの声だ。
茜と呼んだのはいつぶりだろうか。茜が入院して直ぐ辺りなのは確かだ。お見舞いをするにつれてだんだんと茜ちゃん呼びに変わってしまっていた。心の壁だ。そりゃ何回会っても表情を変えずただただ遠くを見る目で私達のことに目もくれない。小さい頃の私からするとそれは本当に辛く、しんどく、嫌な思いになってしまう。そういったことから知らずと心の壁ができてしまい、だんだんとお見舞いに来なくなってしまった。
｢Aちゃん....本当にごめんなさい。｣
彼女はしくしくと涙を流し、ごめん、ごめん、と謝り続ける。
｢いいよ気にしてないよ。何かあるんでしょ？大丈夫、言ってごらん。｣
私は茜にハンカチを差し出すと昔のように私のハンカチだが気にもかけず鼻水をかむ。
｢ごめん、まだ言えない。私達にとって大切なことなの.....きっとわかる。FF決勝で、それまで待ってて。｣
｢まつ、待つよ。それを茜の口から言ってくれて本当に嬉しい。ありがとう、茜。｣
｢...あのねAちゃ...A、凌兵はこの事は知ってるの...?｣
｢大丈夫、知らない。言うつもりはないよ。｣
茜が嫌がるのなら私はなにもしない。茜はどれほど苦しめられてきたかは計り知れない。こんなに苦しい思いをしてきた茜を二度と辛い思いをしてほしくないのだ。
｢ありがとうA｣
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作者名：森田 | 作成日時：2018年9月21日 23時
