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「…あの」


突然後ろから声が掛けられて、びっくりしながらも振り返る。


「…あ……」


…さっきの、人。


あまりに思いがけへんことが起こって、息が詰まる。


「…もしかしてやけど、就活生ですか?」


…ああ、声も綺麗なんやなぁなんて、ぼーっとしてたら、その人が怪訝そうな顔で僕の様子を伺ってる。


「…あの?」


「…あっ、えっ、と…そう、です。今から面接なんですけど…道、分からんくて…」


ふーん、と返事をしたその人は、自分の内ポケットの辺りを探りながらちょっとだけ僕の近くに寄ってくる。


「ここ?」


なんて、名刺を僕の目の前にずいっと押し出して、ちょっと面倒臭そうに聞く。


目に入ったのは僕がまさに行こうとしてた会社で。


「…えっ、あ、はい!そう、です、そこです!」


驚いてしどろもどろになりながら答えたら、その人は無愛想な表情はそのままにして


「ほんなら、あっちの方に真っ直ぐ歩いとったら着くわ」


って僕の左側を指指した。


「…あ、ありがとうございます!」


慌てて頭を下げてお礼を言ったら、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、その人の口角が上がったきがした。


「…ん」


それだけ返事したその人に、もっと聞きたいことは沢山あったけど


「すばるくん!」


なんて、横から聞こえてきた女の人の声ですっかり我に返る。


「ごめんねすばるくん。お待たせ」


いそいそと財布を直すその女の人は、そこのコンビニで何か買ってきたんやろう。


…それで、この人…“すばるくん”はそれを待ってたんやろう。


急に現実に引き戻された気がして、夏の日差しが自分にだけ照りつけられてる様に思えた。


もう1回頭を下げて、顔を上げたらぶつかる視線に吸い込まれたら戻れへんところまで行ってしまいそうで、目を合わせることなくその二人に背を向ける。


…身体が熱いのは、夏のせいや。


そう言い聞かせて、とにかく早足で歩く。


「珍しいね、すばるくんが知らない人に声掛けるなんて」


「…なんや、ほっとかれへん顔しとったから」


なんて後ろから聞こえた気がするけど、聞こえてへんことにしよう。


僕を吸い込んでしまいそうな黒い瞳のその人…“すばるくん”が僕の上司になって、僕がこの気持ちに気付いてしまうのは




もうちょっと先の話。




始まりの日 END


.

作者より←6/14追記あり→←.



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設定タグ:関ジャニ∞ , 大倉忠義 , 渋谷すばる   
作品ジャンル:恋愛
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神流(プロフ) - yume.no.さん» コメントありがとうございます!続編でも楽しんでいただけるように頑張ります! (2018年6月14日 22時) (レス) id: 04abcd0b9d (このIDを非表示/違反報告)
神流(プロフ) - (名前)ゆーきゃんさん» ありがとうございます!従順わんこは、大学生の間に出来上がっておりました...笑 踏み込んだイチャイチャ...書けるように頑張ります!書きたい踏み込んだやつ書きたい…!笑 (2018年6月14日 22時) (レス) id: 04abcd0b9d (このIDを非表示/違反報告)
yume.no.(プロフ) - はじめまして♪このお話大好きで更新されるのを楽しみにしていました!!終わってしまったときは寂しかったですが、本編後の話も見られるということでとても嬉しく思っています!また楽しみにしてますね♪ (2018年6月11日 19時) (レス) id: 716f977705 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ゆーきゃん(プロフ) - 神流さん» 「始まりの日」読みました!大倉くんの一目惚れだったとは、、、意外でしたー!だからあんなに従順だったのね笑 続編、嬉しいです!楽しみに待ってます!二人のもうちょい踏み込んだイチャイチャとか、期待していいですか?! (2018年6月11日 19時) (レス) id: 9b0edcc515 (このIDを非表示/違反報告)
神流(プロフ) - (名前)ゆーきゃんさん» 返信遅くなってしまい申し訳ありません。終わっちゃいました…作者ながら自分が悲しくなってしまい、続編を作成するに至りましたので、楽しみに待っていただけたらとても嬉しいです(^^) (2018年6月11日 17時) (レス) id: 04abcd0b9d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神流 | 作成日時:2018年4月30日 17時

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