嘘/の/す/ゝ/め/【歌い手】

VIII ページ9

こう言えば私は解放されるだろうか。彼の気持ちの重りは取れるだろうか。


皆が嘘を吐きながら【真実】を捻じ曲げて幸せになろうとしてるのならば。



「まーしぃもやれば良いよ！思い切り嘘を吐けば良い！私を悪者にして突き落としてよ！それで幸せになるんだったら！まーしぃが救われるなら構わないから...！だからもう泣かないで...お願いだから泣かないで...」



私に向けられた暴言を聞いていたまーしぃがまた自分を責めてまた泣いている。だったらいっそのこと、まーしぃも真実を捻じ曲げて私を悪者にして嘘を吐けば良い。




「真実なんてものないんだから。まーしぃが傷付いていくのが、泣いてるのを見るのが、私が一番泣きたくなる。」


私はまーしぃの方を見て、まーしぃの目を真っ直ぐ見て最後の言葉。
　


「ねぇ、今だけでも良いから精一杯の笑顔を見せてよ。嘘の笑顔でも良いから。」


まーしぃは戸惑いながらもこれまでに無いくらい最高の笑顔を見せてくれた。これで私は幸せ。









...嘘。









私は去り際に「信じてました」と呟くと病室を飛び出し、病院を駆け抜けた。病院の職員さんが驚いて、慌てて私に注意の言葉を投げ掛けているけど、私はそんなの気にしない。




私が向かった先は病院の屋上。
高いフェンスを軽々と乗り越え、飛び降りる準備は万端。遺書はいらない。遺言もいらない。まーしぃなら大丈夫だと私は信じてる。




私は嘘に疲れちゃった。





嘘が吐けないから、苦しんで酷くなるから。私は...





「A！」

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