蘭くんはオトしたい【灰谷蘭】

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〔 先日はありがとうございました 〕






カタい文章。仕事かよ。

半笑いになりながら、返信の文を打ち込んでいく。






〔 こちらこそありがとう、楽しかった。
また会いたいから暇な日連絡してよ 〕






おかしくねえよな。

いつもは誘われる側だから誘い方なんて分からない。






( ･･･兄ちゃん、 )






一方で竜胆は 真理に辿り着いていた。






( オトすとか言ってたけど
兄ちゃんが既にその子にゾッコンじゃん･･･ )






口を開けばAちゃんが可愛い、
手話の練習にはオレも付き合わされるし
今だって携帯画面を睨んでは難しい顔をしたりニヤけたり。

オトすつもりがオトされている。
本人は気付いてないんだろうか。気付いてないんだろうな。



確かまだ１回しか会ってないはず。
だというのに兄をここまでベタ惚れさせる女とは。

兄貴に気に入られて可哀想、なんて思っていたが案外そういうわけでもなさそうか？






「 っしゃ、次のデートの日決まったぞ竜胆 」


「 ･･･そう 」






デート、って。付き合ってもねえだろ。
言おうものなら拳が飛んでくるので黙っておく。






「 兄ちゃん、 」


「 んー？ 」


「 その子、オトしたらどうするつもり？ 」






自分の女癖も大概悪いとは思うが
遊び半分、ゲーム感覚で女を弄んでは飽きたら捨てる、の繰り返しで
しつこく言い寄ってくる女には平気で暴言を吐くし
下の奴らにマワされようが気にも留めないような兄。






「 あー･･･、なんも考えてなかったワ 」






･･･ほら、やっぱり。


自分のものになったら面白くなくなってポイ、がテンプレ。
付き合う云々の考えに至らないところ。

人のこと言えるタチでは無いと思うがコレよりはマシだと思うわ、オレ。







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