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小さな神社の小さなお祭り。
花火なんてそんな大層なイベントはやらない。
だけど、太鼓だってあるし、盆踊りだってできる。
大きいことはしなくても皆はとても楽しんでいた。
ちらほらと見かける男女のカップル、
金魚掬いで遊ぶ小さな子供たち、
スマホで自撮りをする女子高生たち、
普段着でワイワイはしゃぐ男子高生たち、
それぞれの友だちや知り合い、大切な人達と
それぞれのお祭りの時間を過ごしていく。
そんな皆の姿を傍からボーッと2人で見つめる。
まるで、ここだけ別世界にいるかのような、そんな静けさが私たちの周りを覆っていた。
「みんな楽しそうだね」
「そーだなぁ」
「……楽しい?」
「俺?もちろん!」
「Aちゃんは?」と質問返しをされて、私も視線を彼に移しながら答える。
「私も、楽しいよ」
「そっか」
「なにか他にしたいこととかはないの?」
「……んー、」
そう考えながら彼は足の間に手を起きベンチを押すようにして前のめりの姿勢になる。
少しの間夜空を見上げてから、彼は「1個だけ」と小さめの声で呟いた。
「じゃあそこ行こう」と言いかけるも、彼が突然立ち上がって私の手を握ってきたことによって遮られてしまう。
そのまま彼は本当に楽しそうな顔で、嬉しそうな顔で、私の手を引っ張って立ち上がらせた。
カランとこの場に似つかない音が響き渡る。
「ちょっと歩くけど、行こ!」
「………うん」
1歩踏み出せばまたお祭りの空気に入っていく。
彼の笑顔はなにかの魔法のようだ。
私の心を明るくしていく。
私の世界を鮮やかなものに変えていく。
私には勿体ないものだ。
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れな(プロフ) - しっぽうさぎさん» 素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉ばかりで…書き手冥利に尽きます´ `* これからもまったり更新ですが最後までよろしくお願いします!高校時代はまだ公式さんから何も言われてなかったので、自由に想像しながら書けてたんですけど…焦ってます;; (2019年2月16日 9時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
しっぽうさぎ - 読み始めた瞬間『あ、この作品好きだ。』と感じました。久々の感覚と、久々に好みな作品を見つけられて最高に嬉しいです。関係無い話ですが、私も前におそ松さんの学生ストーリーの作品を作って、あら公式と違うわとなりました。…共感です。笑 (2019年2月14日 18時) (レス) id: dc9d359d93 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 来夢*゚さん» 初めまして。素敵な感想ありがとうございます!キュンとくる内容になってるか微妙だったのでそう言って貰えてとても安心してます。のんびり更新な感じではありますがどうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします ^ ^ (2018年5月6日 6時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - 初めまして。学生特有の甘酸っぱい恋物語に当方毎回楽しみにしながらキュンキュンさせてもらってます(〃ω〃) これからも頑張ってくださいね。応援してます! (2018年5月5日 16時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
万珠沙華(プロフ) - レスありがとうございます!! (2018年4月22日 20時) (レス) id: a8300dcf2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れな | 作成日時:2018年4月19日 19時