繋ぎ止めたような ページ7
みのり視点
決して良い状態とは言えないグラウンドでも、すぐに対応して見せるのが帝国イレブンの凄いところだと感じている。
さっきの態度が許されるとは言ってない。けれど、実力がこうもあると格下相手にあぁなってしまうもの…らしい。
でもこれは、豪炎寺修也のデータを取るため。
しかし、当の本人である豪炎寺修也は見つからない。ここに転校してきたのは本当？
「……嫌な予感がするな。」
今まで、公式戦以外の帝国のプレイは観たことがない。公式戦と変わらないことを祈るけど、どうだか。
と、鬼道さんがゴールポストを大きく外れた場所に向けてシュートを打った。
狙いは円堂さんらしい。
しっかりと受け止めた後、力が抜けたのかボールはそのまま落ちた。
自分の手を確認して、一言。
「燃えてきたぁー！！」
「……はぁ？」
思わず私も声を出した。
円堂さんは一体どんなメンタルをされてるんでしょうか。もはや怖いです。
しばらくして試合は始まった。なんやかんやで10分近く待たされたけれど、まぁ試合ができるに越したことはない。
「……あの人誰だ？」
さっきから実況らしきことをしている雷門中の生徒がいる。角馬…と言うらしい。
角馬、角馬…
「え？」
あの、サッカー実況者の角馬王将の息子ってこと？
「なんでそんな有名人の御子息がここに…？」
側からすると何言ってんだ？と思われそうなことを呟いているうちに、雷門ボールで試合は始まっていた。
細かく繋がるパスは単純でありながらも正確性のあるパスだった。
弱小とは言え、繋ぎ止めたようなものになっていないのはこれからの成長を期待させる要因になるはず。
……でも、これにやられている帝国はまだ自らの実力の2も出
名前も知らない雷門の1人から出されたパスは茶色い髪をした選手の上を行き、“染岡”と実況が言っていた者に渡る。
空中の高い位置からのシュート。
軌道に沿うとゴールポスト付近でゴールカットができる。それを難なく源田さんがこなしていった。
ここからはよく聞き取れなかったけれど、源田さんはなにかを鬼道さんに伝えながらボールを渡した。
確実に豪炎寺修也を引きずり出す準備はできている。
少し悪寒を感じた。
横に置いていたバインダーを手に取って、雷門のプレイスタイルを書き出した。
紙は何枚でもある。1枚くらい自分が取っていったって誰も気にしはしない。
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