幻が誘うは (ページ6)

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みのり視点

砂のグラウンド。サッカー部としては何年も使われなかったのか、ゴールポストはまだ綺麗なまま。

その代わり、ラグビー部などが使った形跡が至る所に残っている。今日は外されてグラウンド横に置いてあるポール
も、ボールが当たった後がいくつもできていた。

「雷門中サッカー部のキャプテン、円堂守です。練習試合
の申し込み、ありがとうございます。」

と相手の...円堂守が手を差し出そうとしたところで

「初めてのグラウンドなんでね、ウォーミングアップしても良いかな。」

と話を切り出した。鬼道さんって相手の話を遮るほど性悪だった？違うよね？

「あ、どうぞ...。」

そりゃそうなる。

グラウンドへ向かうイレブンにはあとで着いて行こう、まずは挨拶くらいしておかないと。

「帝国学園サッカー部の夢継と申します。先程はキャプテンが失礼な態度を見せてしまい申し訳ございません。
今日の練習試合、よろしくお願いいたします。」

「あ、はい、よろしくお願いします。」

と、ベンチの方に目線を向けた。鬼道さんがこちらを見ている。怖いですよ鬼道さん。

私もベンチへ向かい足を動かした。砂の感触が懐かしく感じる。

ベンチに腰掛けてバインダーを膝に乗せたところでふと思った。私も私でそっけない態度をしてしまったんじゃないかと。

「円堂さん、ごめんなさい。私の態度もめちゃくちゃそっ
けなかったな...…。」

すでにウォーミングアップを始めた帝国イレブンはこちらに見向きもしない。ただの独り言で終わってくれて良かった。