私と家族と ページ4
みのり視点
「豪炎寺修也のデータを取りに雷門へ……？」
小学校から上がって帝国学園の中等部に入学して、私はサッカー部に入った。
選手登録はできなかったものの、先輩たちが帰ってからひとりで練習していることなんていつものこと。
入部してしばらく経って、雷門との練習試合に同行することになった。
「あぁ、そうだ。総帥の考えることだから、去年対戦できなかったからこその動きだろう。」
佐久間さんの推測を聞き、分かりましたと返事をした。
その日はお姉ちゃんのお見舞いにいけないな、とちょっと落ち込んだ。
「……もう6時か、帰らないと。」
家に戻ると、少しリビング全体が蒸し暑いような気がした。
そういや今日の最高気温はこの時期にしては高かったしな、と空調をつけた。
しばらくして、涼しい風が部屋の温度を下げていく。
親はお姉ちゃん見舞いに行ってるから、しばらく帰ってくることはないだろうな。
自分の部屋にカバンを置いて、筆箱と日記帳をリビングに持っていく。ついでにこの部屋にも空調をつけておいた。
「今日は…」
—
×月⚪︎⚪︎日
今日は部活の帰りに雷門との練習試合があると告げられた。
理由は単純で、炎のストライカーこと豪炎寺修也が雷門中学校に転校するからという理由だった。
そこまでしてデータが欲しいのかとは思ったけれど、影山総帥の意向なら従う他選択肢はない。
私も帯同できるようで、今から楽しみだ。
—
「……よし。」
シャー芯を直して筆箱に入れた。
玄関の開く音がして、私は日記帳を閉じてリビングを出た。
「おかえり。お父さん、お母さん。」
「あぁ、ただいま、みのり。」
お父さんからの返事を受け取った。
「みのりはいつ帰ってきたの？」
お母さんは私がいつ帰ってきたか気になるみたい。
「言っても30分くらい前だよ。まだ明るかったから大丈夫。」
と、廊下を歩きながらリビングへ向かう。
「そうか、なら良かった。」
過保護だなぁ、とは思いながらもこういう風に会話をしてくれる両親が大好きだ。
「そうだみのり、お姉ちゃんのことで話があるの。」
母から会話を切り出した。
「お姉ちゃんのことで？」
「えぇ。お姉ちゃんね、ずっと“こども英才教育センター”ってところにいたでしょう？ けれど、“アレスシステム”に成功して足が徐々に治りつつあるの。」
「そうなの？」
……思わず続きが気になってしまった。
「それで、お姉ちゃんは？」
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