護衛？ ページ14
みのり視点
6限目終わりのこと。なぜか佐久間さんが私のクラスまで来た。
「佐久間さん、どうしてここまで？」
「いやぁ、鬼道に連れて来いって言われたんだよ。終礼は？」
「まだ時間はかかりますけど、待ってくれるなら。」
手に荷物を持っている状態だから、きっと2年生の終礼は終わったんだろう。
「……わかった、待っておく。」
「ありがとうございます、では後で。」
自教室に入るなり、何してたんだろう、みたいな視線を浴びつつ、終礼は始まった。
明日は5限終わり、という呼びかけをされて、終礼は終わった。
「お待たせしてすみません。」
「あぁ。じゃあ、行くか。」
「……ちなみに、どちらへ？」
何も聞かされていないし、雷門が何かするとかいう情報は特に聞いていない。
「お前に話がある、ってさ。正門の前まで俺が護衛するハメになっちまった。」
「護衛って…」
思い当たる節は全くない。強いて言うなら親が鬼道重工の偉い役職に就いているくらい。
「心当たりは？」
「ないですね。流石にそこまでは…」
苦笑いになってしまったのが申し訳ないとは思いつつ、下足室で靴を履き替える。
靴を履き終えると、すでに玄関口で佐久間さんがこちらを見ていた。護衛というより、ストーカー？
その後は話をすることなく、正門まで連れて来られた。
「……鬼道？」
「あぁ、佐久間。ありがとう。」
「お前が直接行けば良かったのに。」
「なぜかクラスメイトから変な視線を浴びせられましたし」
「俺もなんか変な視線を浴びたような」
2人して何してるんだろうと思いつつ、鬼道さんを見る。
「いや、迎えの車のためにここで待ってないといけなかったんだ。許せ。」
「ふーん…」
と、佐久間さんが興味のなさそうな返事をした。
「……で、話とは？」
「あぁ、まず車に乗り込んでくれ。佐久間、ありがとう」
「え、俺は？」
きょとんとした顔をする。護衛はここで終わりらしい。
「すまない、これは俺達だけにしか通じない会話なんだ」
「はぁ…… 分かったよ。部活は不参加だな？」
「あぁ、もう全員に伝えている。今日はお前が仕切ってくれ」
呆れた顔で「わかったよ」と答え、佐久間さんは校内へ足を進めた。
正門の外に目を向け、大きなリムジンがあるのを確認した。
「乗ればいいんですか？」
「あぁ。これからお前の家に向かう」
「え？」
「退院祝いだ。栞さんのな。」
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