鴉の恩返し。 (ページ6)

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緊張して何も動けずにいた私にまた声をかけた。

「お嬢さん、助けてくれてありがとう。本当に助かったよ。」

「いえいえ…！当然のことをしたまでで…！」

男性はゆっくりと身体を起こした。

「私はマルフィ。こことは違う場所から来たんだ。」

「は、はあ。私はAです。宜しくお願いします。」

お互い自己紹介をすると、マルフィさんが笑みを浮かべて

「A…素敵な名前だね。主が付けてくださったのか？」

「あ、主…そうですね…」

「そうか…私と一緒だな。その名前、大切にな。」

マルフィさんはそう言うとベッドから降りた。

「ここで帰るべきだが…貴方に借りが出来た。どうか恩返しをさせてほしい。」

そう言って私の方に振りかえった。

「恩返しだなんて…！全然！大したことないので！！気にせず！！」

慌ただしく返事をする私をみて少し笑ったマルフィさんは、「私にとってはとても大きいことだ。」と言って、結局マルフィさんが恩返しするまで家にいるという話になった。