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大人しく話を聞いていた。
任務地は北の大陸、"北海道"。
先輩と二人で行く事になった。
ちょっと、だいぶマズイ予感がした。
先輩と二人だ、なにか起きないわけが無い。
虫鹿「ホテル取っといてやろうか？」
貴「手配済みです。今から美容院ですので失礼します。」
私はそう言って足早にこの場を去った。
ドアの向こうからの視線が怖かった。鳥肌が立つような、本能的な危機感。この人の正体は考えなくてもわかった。分からなかったのは、なぜ私をそんな風に見るか。
転生してるとバレたのか、変な匂いでもしたのか。
さっき働いてしまった無礼が気に触ったのか。
貴「気が重いな…。」
そんな事を思いながら予約した美容院に向かった。
・
「いやぁ〜、やっぱ可愛いですねぇ。」
貴「えぇ！マジでやばいこんなに綺麗に染まるんですね！」
私は美容院のお兄さんと仲良く話していた。
ブリーチで綺麗な金髪にしてもらったのだ。天パは褒めてもらえるし好きなのであえて矯正しなかった。黒髪の天パも好きだったけど、先輩とは長い付き合いになりそうなので、どうせならと思って金髪にしてみた。
「では、お会計ちょうどお預かりします。」
貴「ありがとうございました。」
店の外に出ると、妙に風邪が冷たく感じた。
後ろに感じ慣れた気配がして振り返ると、そこには"先輩"がいた。口元が少し動いて見えた。その時何を言っていたのか、分からなくてよかったと私は心底思った。
軽い足取りで私は先輩の方へ歩いた。
貴「先輩お疲れ様です、どうです？似合ってますか？」
虫鹿「……あぁ、似合ってる。」
先輩はいつもと変わらず乾いたように笑った。
私の髪を一束とると、それをただじっと見つめていた。
やはり先輩は、私と怜奈さんを重ねているんだろうか。
そんな事を思っていると、雑に頭を撫でられた。
貴「ｸﾞｪｯ、やめて好きな子に意地悪する系男子?!思春期かよ!!」
虫鹿「何言ってんだ、俺はドロドロに甘やかす系だ。」
貴「え？逆に怖いし、やっぱり私の事嫌いなんですか？」
虫鹿「はぁ……、送ってく。帰るぞ。」
先輩は溜息をつきながらも私の手を握ってくれた。
私は存外悪くない気分だった。たとえ、怜奈さんに重ねられてても構わない。この時間が続けばいいと願った。私がきっと死ぬまで先輩と一緒だと、この時まではそう思ってた。
やけに夕日が赤く見えた。
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楸(プロフ) - ひなたさん» 分析能力が高すぎなコメントありがとうございます！そう言っていただけると本当に嬉しいです。この作品は少し難しく執筆が難航していたので語彙力豊富な感想でとても励みになりました。これからも頑張ります！！ (2023年3月30日 11時) (
レス) id: 22f489ff48 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - すごい…語彙力がなくなるぐらい凄かったです…。綺麗でとても難しい感情もあるのに全体的なまとまりがあって、かつ、主人公ちゃんの物語を上手くはめ込んでいて、読んで行きながらパズルが完成していくかのような満足感が半端なかったです…。めっちゃ応援してます！！ (2023年3月29日 2時) (レス) @page35 id: 44a03850b3 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - ？？？さん» すいません、涙かっさらってしまいました。涙は罪の悪魔が美味しく食べましたのでご安心を。これからもひっそりと更新頑張ります。 (2023年3月15日 0時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - ハルヒさん» もうほんとかっこいいですよね、これからも更新頑張ります。応援ありがとうございます！ (2023年3月15日 0時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 海獣さん» かなりわかりみ深いです。自分でも書いていて、えぇめっちゃ好ことか思ってます。見てくれてありがとうございます、更新頑張ります！ (2023年3月15日 0時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作成日時：2022年12月8日 16時
