さよなら ページ40
先輩は懐かしそうに話してくれた。
その姿には全く後悔は感じられなかった。
虫鹿『怜奈は公安所属のデビルハンター"雷"の悪魔だ。俺は高一の時、怜奈に助けられた。』
自然災害級の悪魔でも銃野郎の肉片を取り込んだ悪魔には勝てなかったのか。
それでも命を呈して先輩を守ったんだから、きっと怜奈さんも先輩を愛してたんだろうな。私はどれだけ頑張っても先輩の愛する唯一の人には慣れないだと、痛感するようだった。
虫鹿『まんまと惚れて、ずっとそばにいたいと思った。ここからはお前が知っての通りだ。俺は怜奈を、雷の悪魔を愛してしまった事を"罪"として背負った。』
貴『そんな先輩も私は結構好きでしたよ。』
そう言って笑い合った。
懐かしいあの日々ような時間だった。目を覚ませば愛おしい人が目の前にいるそんな何気ない日々を望んでいた。当たり前を望んでは行けない職業と世界に産まれてきてしまった。健康な身体を持ってもそれ以上があれば望んでしまう。
そんな感情すら彼の前では愛おしく思える。
虫鹿『俺は愛してたよ。』
貴『慰めて、くれますか？』
好きと言っても愛してるを伝えても彼の手は冷たい。私の手は暖かいだろうか、私よりずっと暖かかった彼の手が恋しい。
どこの小説かも映画かも分からないその言葉。
虫鹿『ごめんな、A。』
貴『愛してます、梅さん。』
虫鹿『名前で呼ばれるのって嬉しいもんだな』
さよなら、私の愛しい人。
虫鹿『A、ありがと。』
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目を開いた時に見えたのは、カーテンから差し込む朝日だった。随分寝ていた気分だが、どうにも内容が思い出せない。よくある事のはずなのに今回は気持ちが晴れた明るい朝だった。
よくやく自由になった、そんな気分だった。
岸辺「お前、何泣いてんだ？」
貴「何言って……」
彼の言った通り、私の頬には何かがつたっていた。
貴「なんで………ルティ、ルティ………ルティ!!」
何度呼んでも返事をしてくれない。
いつもなら名前を呼べば直ぐに返事をしてくれるのに、それになんで私が泣けるのよ。泣けるわけない、それは契約の時にあげたんだから戻る事は無い。
全く前例がない、なんでどうなってるの。
いや、まだ一人残ってる。
貴「………"貧困"、来て。」
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楸(プロフ) - ひなたさん» 分析能力が高すぎなコメントありがとうございます！そう言っていただけると本当に嬉しいです。この作品は少し難しく執筆が難航していたので語彙力豊富な感想でとても励みになりました。これからも頑張ります！！ (2023年3月30日 11時) (
レス) id: 22f489ff48 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - すごい…語彙力がなくなるぐらい凄かったです…。綺麗でとても難しい感情もあるのに全体的なまとまりがあって、かつ、主人公ちゃんの物語を上手くはめ込んでいて、読んで行きながらパズルが完成していくかのような満足感が半端なかったです…。めっちゃ応援してます！！ (2023年3月29日 2時) (レス) @page35 id: 44a03850b3 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - ？？？さん» すいません、涙かっさらってしまいました。涙は罪の悪魔が美味しく食べましたのでご安心を。これからもひっそりと更新頑張ります。 (2023年3月15日 0時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - ハルヒさん» もうほんとかっこいいですよね、これからも更新頑張ります。応援ありがとうございます！ (2023年3月15日 0時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 海獣さん» かなりわかりみ深いです。自分でも書いていて、えぇめっちゃ好ことか思ってます。見てくれてありがとうございます、更新頑張ります！ (2023年3月15日 0時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作成日時：2022年12月8日 16時
