一般人ですが"飛車"になります。 (ページ5)

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えっ、待ってなんでクマ？
てかまずあれってクマなの？

いや、クマじゃなかったら逆になんなのか分からなさすぎて頭が痛くなってくる。思考放棄、思考放棄。

あのクマ(仮)の個性"ハイスペック"か。

貴「預かるって、私も動物園行きってこと？」

「私は根津。"雄英高校"で校長をしてるよ。」

私が真顔で背もたれに寄りかかりながらそういうと、熊は表情ひとつ変えずにそう返した。

"雄英高校"…ってあのヒーローの"名門校"じゃん。毎年倍率ヤバみすぎて落ちた友達もいた。私は正直興味ないから「ヒーロー科とかいっぱいあるし結局ヒーローなれればいいじゃん」とか思ってた。

私は少し眉間にシワを寄せながらクマに返事をした。

貴「それってほぼ拒否権なくない？」

根津「まぁね、けど君の最低限の"自由"は保証するよ。」

貴「私はさ、"私の"自由とか安全はどうでもいいのよ。私が保証して欲しいものは他にある。それが分かったら私を好きにしていいよ。」

私はそう言って偉そうに机の上に靴を乗せてふんぞり返ってみた。

これくらいの挑発は許してくれないと、私はあの人の安全を保証できる場所を見つける方法がない。私の性格をわかってない連中ばっかりだ。なら、私が"訳の分からないイカれた野郎"に映った方が私には都合がいい。

私のその姿を見るとクマは少し考えた様子を見せた。

貴「あれ？分かんないかな。」

根津「いや、なら君の大事な"玉将"は私たちが守ろう。"歩"や"飛車"なら好きに使っても構わないと言う事でいいのかな？」

貴「…うん、いいよ。そう来なくっちゃね。」

私は思ったよりも出来るクマに口角を上げた。

私たちが話をしていると、横から公安らしき人間が口を出してきた。見た目は普通のプロヒーローだが、身のこなしや雰囲気が違う。明らかに私に敵意のある人間だ。

私が公安らしき人を見ていると私の後ろにいたプロヒーローが急に私の腕を引いて部屋を出て、別の部屋に連れてこられた。

貴「ボサボサのお兄さんは2度目だね。」

「俺は相澤だ。お前の事は俺が任されてる。」

貴「そっか、相澤さんで良かった。」

相澤「そうか。」

私が「なんでか聞かないの？」と言うと「興味無い」と言って一蹴された。多分他人に興味のない仕事人間なんだろう。こういう人間は、地雷を踏み抜くのが簡単だ。

ヒーローになる人間がそんなこと考えたらダメか。
そんな事を思いながら根津さんが来るのを待った。