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私の孫……うん、可愛くねぇな。
確実に私の事ババアって呼ぶよ。
そんな孫死んでも
紅白頭君みたいに素直そうな子がいいよほんとに。
そんな事を思ってると紅白頭君は普通に自己紹介を始めた。
「轟焦凍だ、右斜め前の席。」
貴「へー、そうなの。私はAA。よろしく。」
轟「ところでそれなんだ？」
蕎麦をモキュモキュと食べておる轟君。
なんと愛らしいんだろうか。面は確かに良いがそれ以上になんか雰囲気が可愛い。私なんて昔から可愛げがないって言われて育ってきたのに、この差は一体なんなんだろ。
昔よく言われたんだよな。
篤満『俺の孫なのに生意気すぎだ、自重しろ。』
貴『ジジイが年功序列で権力横行すんじゃねー。』
篤満『幼稚園児が何でそんな言葉知ってやがんだ。』
私は相当変な園児だった自覚がある。
遊びに行く時はいつもラジオと防災用の水がリュックの中に入ってた。備えあれば憂いなしってよく言ってたらしい。ホームビデオに決めゼリフみたいに言ってる私がいたのをよく覚えてる。
私は思いふけっていたところハッと現実に意識を戻した。
貴「…これは私の個性"アクセス"。名前の通り何にでもアクセスできる個性。多少の"要素"、分かりやすく言うと"代償"がいるんだよ。」
轟「だから爪剥がれたのか、大丈夫か？」
貴「大丈夫。包帯あるしモーマンタイ。」
私がそう言うと轟君は何故か私から包帯を取り巻いてくれた。
なんでしてくれんだろ、一人で全然できるんだけどな。だってもう一方の手だってある＿＿＿＿いや、今日は朝から家に手紙送ったので反対の手の爪も剥がれてるんだった。
凄いなヒーロー候補生って手当もお手のものか。
貴「ありがと、轟君。」
轟「いや、いい。Aはそば好きなのか？」
貴「好きだよ。その紅白頭縁起いいね。」
轟「年寄りによく言われる。」
轟君は私に包帯を返すと再び蕎麦を食べ始めた。
お昼時間、教室に帰るまで轟君の頭を見続けた。
これなら歳とっても白髪に悩まなくていいんだろうな。私は真っ黒だから白髪が生えたら困る。轟君は歳とったらきっと真っ白になるんだろうな。紅白歌合戦でも男の人は白組だからちょうどいいんじゃないのかな。
なんてことを授業中永遠と考えていた。
マイク「じゃー次の問題、A。」
貴「分かんないからCで。」
マイク「即答!!?しかも潔イイ!!」
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作者名：楸 | 作成日時：2022年11月27日 0時
