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雨が276粒。 ページ4

いきなり現実に引き戻しやがって、と云う吉田君に、当然でしょう。私立なんてもう再来週に迫っています、と答えた。






「それぞれの志望校に合わせてちゃんと授業は組んでいました。皆さんが悩んだり頑張っていた先月もずっとね。」






云い終わると殺せんせーは過去問題集を教卓に於いて、代わりに進路希望調査と思われる用紙と出席簿を手に持った。そして、受験の結果が出た後で再び皆さんと面談します、と話し乍ら。






「それぞれが…E組(ここ)を出た後、どういう未来を選びたいのか。


君達は…先生が爆発する確率が高くないと教えてくれた。そして…卒業したら暗殺も辞めると皆で決めた。



標的(ターゲット)の先生がその方針に挟む異論はありません。…というより、先生も同じ事を言うつもりでした。



暗殺の結果がどうなろうが、たとえいくら国から頼まれようが、たとえ地球がどうなろうが、




君達の暗殺は卒業(そこ)で終わりです。


ナイフと銃を置き…



それぞれの道へ歩き出さねばいけません。



1度きりなのは行事に限らず、殺せようが殺せまいが…必ず別れは来るものです。




それが…教室というものだから。」







別れの準備を始める二月。



皆は進路に向けて、自分の事を見つめなくちゃ成らない。







「卒業迄、後、三十八日ですね…」


「一ヶ月ちょいか。疾ェな。」






私は皆みたいに進路について考えなくて善いから楽だ。




私の進む道は正にお先真っ暗。





生きるか死ぬか判らない、闇社会。





でも、暗くても光は射し込む。闇の中にだって光は有る。光の中に闇が有るように。






私にとっての光の中の闇はE組。




私にとっての闇の中の光はポートマフィア。






光の中の闇を知ったら、闇の中の光を知ったら、もう光には戻れない。





冷めた手を中也さんの手に重ねた。彼も握り返してくれた。何も云わずに。




彼の体温が手に伝わり、私の手も暖かく成る。





心もぽかぽかと暖かく成る。





彼は私の冷めた心も暖めてくれた。



そして、私に空いた穴も埋めてくれた。






両親が死んで、皆に裏切られてぽっかりと空いた穴を。

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バンビ(プロフ) - ぬうさん» いえいえ! (2017年4月5日 17時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう - ありがとうございます! (2017年4月5日 16時) (レス) id: 16fdde5e77 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - ぬうさん» 矢印を押してからアルファベットを打ったら出来ると思います! (2017年4月5日 14時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう - あの、パスワード認証の大文字の打ち方がわかりません。どうするんですか? (2017年4月5日 14時) (レス) id: 16fdde5e77 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - アオアオさん» コメントありがとうございます!!祝いの言葉まで!次も頑張って書きます! (2017年2月15日 21時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バンビ | 作成日時:2017年1月31日 21時

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