雨が293粒。 ページ48
会計を済ませ、店から出た。
「中也さん、奢って頂き、有り難う御座いました。」
「
手を繋いで、駐車場へと向かう。
其の侭横浜に帰るのかと思って居たが、中也さんは横浜とは反対方向に車を走らせた。
「中也さん?何処行くんですか?」
「一寸名前に
「?」
中也さんから贈呈品を貰えるのは嬉しいのだが、何を呉れるのか、何処に向かって居るのかが不明な為、心情は少し複雑だ。
着いたぞ、と中也さんが車を道路の脇に停めた。
車から降り、中也さんに手を引かれ乍ら付いて行く。
「中也さん?」
「此処。」
中也さんが足を止めたのは、お花屋さんだった。
「何でお花屋さんに?」
「云っただろ、贈呈品やるって。中這入んぞ。」
店内は外とは違い、暖かかった。
中也さんは店員さんと奥に行った。私は出入口付近で待っていろと云われたので、大人しくしていた。
数分すると、中也さんからメッセージが来た。
【直ぐ行くから外出とけ。】
そう記して在った。
中也さんの考えてが全くと云って善い程理解出来ない。彼は何がしたいのだろうか。
そんな感情を抱きつつも、彼の指示に従った。
少しすると中也さんは店内から出て来た。後ろに何か隠し乍ら。
私の前に来ると、それを私に押し付けて来た。
「ちょ、中也さ…ん?」
ふわりと香った猪口冷糖の香り。だが、花から猪口冷糖の香りはするものなのか?
……否、有った。猪口冷糖の香りがする花が。
「
「ヴァレンタインだからな。それに、花贈るのも悪くねェかと思って…。」
私は猪口冷糖秋桜の花束を軽く抱き締め、
「有り難う、中也。」
と、微笑み云った。
「喜んで呉れたみてェで善かった。」
「とっても嬉しい。」
「そっか。…帰るか。」
「うん、中也の家早く行きたい。」
「今日は善い夜に成りそうだ。」
「…そ、だね。」
「俺は可也我慢した。二回もヤりたくなったが、我慢した。」
「ふふっ。そうだね、有り難う。……今日は少し位なら…ね。」
「おっし。」
彼の姿に笑みが零れた。
車に乗る際、ふと夜空を見上げて呟いた。
「後、十日。」
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バンビ(プロフ) - ぬうさん» いえいえ! (2017年4月5日 17時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう - ありがとうございます! (2017年4月5日 16時) (レス) id: 16fdde5e77 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - ぬうさん» 矢印を押してからアルファベットを打ったら出来ると思います! (2017年4月5日 14時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう - あの、パスワード認証の大文字の打ち方がわかりません。どうするんですか? (2017年4月5日 14時) (レス) id: 16fdde5e77 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - アオアオさん» コメントありがとうございます!!祝いの言葉まで!次も頑張って書きます! (2017年2月15日 21時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2017年1月31日 21時