雨が145粒。 ページ7
「中原さん。君には期待している。」
突然の事に驚きつつも、ふふっ、と嗤った。
「面白いね、其の期待に答えるよ。」
私は鞄を地に置き、学秀に歩み寄った。
「1位取るのは赤羽君だけじゃない。私もだよ。」
「「「!!」」」
私の発言に吃驚しているE組の面々。
中也さんは無表情で此方を見ていた。
「ほう、君が?」
「うん。負けないよ?私だって、本気で行くから。」
「君の学力はA組に相応しい。だが、E組にいるね。」
「しょうが無いでしょう?転校初日に理事長のトロフィー壊しちゃったんだもの。」
「それをやったのは兄の方だろう。」
チラリと学秀は中也さんに視線を向けた。でも直ぐに私に戻した。
「私は中也さんと一緒じゃないと嫌なの。A組に行くなら、中也さんと一緒じゃないとね。」
「A組に来ないかい?」
「私にえらくご執心なのね。でも、其の誘いは丁重に断らせて貰うよ。若し、行く事が有れば、其れは私がE組に絶望した時、かな。」
云った後、私は学秀の肩に手を置き、耳元で、
「幾ら学秀でも、私の邪魔したら消すよ?」
そう囁いた。
学秀は、ふっ、と嗤うと、君は恐ろしいね、と呟いた。
「何の事だかさっぱり。」
「いい性格だね。」
「お互い様でしょ?まぁ、頑張ろうよ。テスト。負けないけどね。」
「望むところだ。」
其れ丈云うと、学秀は今度こそ帰って行った。
それを見届けていると、後ろから衝撃が。抱き締められているようだ。
見なくても判る。中也さんだ。
「如何しました?中也さん。」
「浅野って奴糞腹立つ。」
「ふふっ。口悪いですよ?」
「うっせ、元からだよ。」
「まぁ、そうですね。というか、離して貰えません?一応、公共の場なので。」
「嫌っつったらどうする。」
「暫く話しません。話し掛けられても無視します。」
刹那、中也さんが離れた。
私は振り向き、中也さんの手を取った。
「帰りましょうか。迎えも来ているでしょうし。」
「そうだな。」
握られていない方の手で、私の鞄を持ってくれた中也さん。
皆に手を振り、別れを告げる。皆もそれに答えてくれた。
また明日、と云う言葉も掛けられた。
でも、私はそうは云えない。
だって、私の生きている世界では、明日がに確に来る保証なんて無いのだから。
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ベベンべエエェェ - 何か自分が恥ずかしいデス… (2021年9月14日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
ベベンべエエェェ - 私誰かが憎しんでる顔とか、絶望してる顔大好きなんですよね…何時の間にかドエスになってたり… (2021年9月14日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
永眠(プロフ) - あの、すみません。この次の小説にパスワードが着いていて、書かれてある通りに打ったり、コメントでみたパスワードを書いたんですけど、開けなくて。どうしたらいいですか? (2020年7月8日 13時) (レス) id: b1f570929b (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 零魔さん» コメントありがとう!!そう言って頂けて、嬉しい限りです!ありがとうございます! (2018年3月16日 9時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
零魔 - 凄い! (2018年3月15日 22時) (レス) id: 8e0c5fded6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2016年12月29日 14時