雨が161粒。 ページ28
「中原さ〜ん。ちょっといい〜?」
愛想笑いを浮かべ、私に云ったのは藤本。
とうとう来たか。
初めにそう思った。
理事長の暗殺から数日経っていた。其の間、全く仕掛けて来なかったから、待ちくたびれて居た。
嗚呼、でも、藤本が皆からの信頼を取り戻そうとしていたか。
「全然いいよ。」
満面の笑みでそう答えた。
藤本は一瞬顔を歪めたが直ぐに戻り、私の手を引いた。其れはもう痛い程に。
先程迄居た教室を出て、連れて行かれたのは理科準備室。
今は放課後、皆は訓練で残っている。中也さんも其の中だ。詰まり、私は教室で一人だったという事。
「で、何かな?藤本さん。」
「中原さんの事、ちょっと調べさせてもらったわ。そしたらね、すごーい事が分かったの。」
「へぇ、何?」
「中原名前なんて、存在していないっていう事が、ね。アンタ、水嶋名前でしょ?私に復讐でもしに来たの?」
「私は中原名前だよ。それに、水嶋さんは亡くなったんでしょう?なら、その水嶋さんが生きてるなんて可笑しくない?」
だって水嶋名前は、法律上では死んだ事に成ってるのよ?
生きてるなんて可笑しい。
普通に考えたらね?
「まぁ、アンタが水嶋か中原かなんてどうでもいいの。いい?カルマ君は私のなの、手出さないでくれる。」
「わ、私は何も…」
「はぁ!?アンタがカルマ君に色目使うから、私に構ってくれなくなったのよ!!カルマ君は私のものなのよ!?」
其れから藤本はギャーギャーと、
「カルマ君に近付くな」
「お前みたいなブスが調子乗んな」
等と云う。そして、挙句の果てには、
「私がE組のお姫様なの!!なのに、何でアンタがチヤホヤされて、愛されてるのよ!!ふざけんな!!」
と。
如何にもっていう感じ過ぎて面白味が全く無い。何を云うか期待していたのに、期待外れだ。
それにしても、藤本は矢っ張り莫迦だ。
私が律に録音して貰っているのを知らずに云うのだから。
其処は面白いと思うかな。
「ちょっと聞いてんの!?」
云い乍ら、髪を掴まれた。
糞痛い。髪の毛絶対抜けてる。禿げるじゃん。
「何でっ、何でこんな事するの…?私、何もしてないのにっ、」
涙声で尋ねる。演技だが。
「アンタの存在自体がムカつくのよ。」
掴んでいた髪を離すと、ポケットからカッターを取り出した。
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ベベンべエエェェ - 何か自分が恥ずかしいデス… (2021年9月14日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
ベベンべエエェェ - 私誰かが憎しんでる顔とか、絶望してる顔大好きなんですよね…何時の間にかドエスになってたり… (2021年9月14日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
永眠(プロフ) - あの、すみません。この次の小説にパスワードが着いていて、書かれてある通りに打ったり、コメントでみたパスワードを書いたんですけど、開けなくて。どうしたらいいですか? (2020年7月8日 13時) (レス) id: b1f570929b (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 零魔さん» コメントありがとう!!そう言って頂けて、嬉しい限りです!ありがとうございます! (2018年3月16日 9時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
零魔 - 凄い! (2018年3月15日 22時) (レス) id: 8e0c5fded6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2016年12月29日 14時