雨が155粒。 ページ21
理事長は暫く黙っていた。
そんな理事長に殺せんせーは、最後の一冊を開くか問いた。
「いくらあなたが優れていても…爆弾入りの問題集を開けば、タダでは済まない。」
「アンタが持ち出した賭けだぜ。死にたくなきゃ、潔く負けを認めちまえよ。」
そう云ったのは吉田君だった。
理事長は無言で彼を睨み付けた。
そして、生徒の内の一人が話し始めた。
「それに私達、もし理事長が殺せんせーをクビにしても構いません。」
「この校舎から離れるのは寂しいけど…私達は殺せんせーについていきます。」
「家出してでも、どこかの山奥に籠ってでも、僕等は3月まで暗殺教室を続けます。」
次々と云う生徒に殺せんせーは涙を流していた。
莫迦莫迦しいなんとも莫迦莫迦しい。見ているだけで吐き気がする。
ちょっとした事で崩れてしまう信頼関係なのに、仲良しこよしして。
「今年のE組の生徒は…いつも私の教育の邪魔をする。ここまで正面切って刃向かわれたのは、今年に入って何度目だろうか。」
理事長が云うと、場が静まり返った。
そして、殺せんせー、とその沈黙を破ったのは理事長。
「私の教育論ではね、あなたがもし地球を滅ぼすなら…それでもいいんですよ。」
理事長は残った問題集を勢い良く開いた。それに伴い、手榴弾のレバーが上がった。
私は瞬時に『雪国』を発動し、理事長の周りを薄氷で覆った。
だが、それは無意味だった。何故なら、殺せんせーが脱皮した皮で理事長を守ったから。
「月に一度の脱皮…か。なぜそれを自分に使わなかった?
数学の爆弾を開く時に使っていれば…そんな洋ナシみたいな顔にならずに済んだものを。」
理事長の言葉にバツが悪そうな表情をした殺せんせー。
すると、皮に手、基触手を伸ばした。
「あなた用に温存しました。私が賭けに勝てば…あなたは迷いなく自爆を選ぶでしょうから…って、何だか理事長の周り冷たいですね。」
ハッとして、異能力を解除した。
其の間に理事長は立ち上がり、なぜ自分の行動を断言できるのかと殺せんせーに尋ねた。
「似た者同士だからです。
お互いに意地っ張りで教育バカ。自分の命を使ってでも、教育の完成を目指すでしょう。
テストの間に昔のあなたの塾の生徒に聞いてきました。あなたの教師像や…起こった事も。
私の求めた教育の理想は…十数年前のあなたの教育とそっくりでした。」
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ベベンべエエェェ - 何か自分が恥ずかしいデス… (2021年9月14日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
ベベンべエエェェ - 私誰かが憎しんでる顔とか、絶望してる顔大好きなんですよね…何時の間にかドエスになってたり… (2021年9月14日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
永眠(プロフ) - あの、すみません。この次の小説にパスワードが着いていて、書かれてある通りに打ったり、コメントでみたパスワードを書いたんですけど、開けなくて。どうしたらいいですか? (2020年7月8日 13時) (レス) id: b1f570929b (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 零魔さん» コメントありがとう!!そう言って頂けて、嬉しい限りです!ありがとうございます! (2018年3月16日 9時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
零魔 - 凄い! (2018年3月15日 22時) (レス) id: 8e0c5fded6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2016年12月29日 14時