【文スト】本当の貴方を魅せて？【短編集】

怯えないで？ 【黒の時代太i宰】 ページ8

Aside


私は今、恐ろしい程の恐怖を感じている。


最近よく視線を感じ、あまり人通りが少ないところを通らずに、早めに帰って来てゆっくりしていた。


だが、最近は家にいるのも落ち着かなくなり、正直眠れないのだ。


今日も仕事から帰って来てドアを閉めようとした瞬間、横目でちゃんと見ていなかったのだが、隙間から人影が見えた。


最近の視線は気のせいじゃなかったんだと確信し、一気に寒気がした。


鍵をかけ、寝室でタオルケットを被り、玄関の方をじっと見つめる。


一人暮らしで、頼れる人は今近くにいない。


あの人影が今どこで何をしているのか分からない。


ベランダから出ようと、小さな窓から逃げようとしてもいたらどうしようと怖くて動けない。


「どうしよう…どうしよう…どうしよう…！」


怖くて頭が真っ白になる。


ﾋﾟｰﾝﾎﾟｰﾝ


「ひっ…」


急に玄関のチャイムが鳴った。


怖い。怖い。怖い。


リビングにある玄関モニターを遠目から見ても誰も映っていない。


さっきの全部……誰かの悪戯？


少し時間が経って動けるようになり、玄関の覗くところから見たが、誰もいなかった。


チャイムの音もしなくなり、リビングで少しだけホッとして、


「も、もう大丈夫だよね……」


そう1人で呟いた時だった。


ｶﾁｬﾘ…


ドアの鍵は全部閉めているのに、開いた音がした。

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