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なれそめ ページ3

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カントクちゃんの手伝いとして働くAは、意外にも忙しい。


ある日支配人が監督だけでは手が足りないと思って、などといい連れてきたのはひとりの女子高生だった。

なんでもバイトを探していたので連れてきたのだと。学校は夜間学校で昼間のみカントクちゃんの手があかないことがあったら手伝い、それに見合った給与を支払う。そんな感じだった。

それなりに整ったルックスに騒いでるヤツは何人かいたが、俺には興味がなかった。


用があれば喋る程度で、仲良くなろうとアタックしていた太一なんかとくらべると雲泥の差があっただろう。



だいぶ馴染んだと思われる頃に、外でAをみた。

ふらふらと歩いていたもんだから、心配になったような気がする。
もう夜だったし、治安がいいとは言えない街だったから余計に。



「なーアンタ、ひとりで歩いてるとか危ねえだろ」


「あ、摂津くん」


「家どこよ、おくってく」



今思えばヤンキーに絡まれているようにしか見えないだろう。不審に思われなくて心底よかったと思う。


「い、やー……まあもうすぐそこだから、大丈夫」




何か後ろめたいことがあるかのようにしていたが、まあ仕方がないことなのだろう。


今となっては納得がいくが、当時は意味がわからず強引に家まで案内させた。
そこで思いもよらないものを見ることになるとは考えもしなかったから。



ついたのは、病院だった。
県内でも有名なそこは、俺でも名前を知っているくらいだ。



「なあ、ここ」



「ここが、今のわたしの家。教えたのは摂津くんだけだなあー!あーあ……秘密、知られちゃった」




いたずらっこのように笑うその顔は、街灯に照らされていたのによく見えなかった。



ひとつの重大な秘密を共有した俺達は、その日からよく話すようになった。

笑う顔、悲しそうな顔、不満げな顔。
たくさんの表情をみてきた。



だからこそ、今これだけ惚れ込んでいるのだろう。
それはいつからか。






話しかけたあの日からか、最初から惹かれていたのか。
今となっては知る由もない。

うみ→←アイス



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作者名:無色 | 作成日時:2018年8月23日 23時

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