アイス ページ2
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「もおーどりましたあー!」
元気よくAが談話室の扉を開ける。
一定温度に保たれた室内は外と比べると涼しくて、ずっとここにいたいとさえ思う。
「そしてなんと!わたし中村Aは!摂津万里くんとお付き合いをします!」
「ええ!?」
爆弾発言すぎる。
「ちょ、セッツァーマジ!?」
「あーマジマジ。今日からAの隣は俺以外禁止なー」
がやがやと盛り上がるここは居心地がよかった。
それでも。
からかわれて、満更でもなさそうに笑うAはこの選択を間違いだと思っているのだろうか。
思っているのならそれでいい。
お前の隣に立てるのは俺だけだって証明するから。
スポットライトの下で輝いていたお前の隣に立ってみせる。いつか俺の隣に立たせてみせる。
だから、幸せになろう。
今だけはすべてを忘れて楽しもう。
「A、そんなヤツらほっといて買ってきたアイスしまえよ。いい加減とけんぞコレ」
「んもー万里がしまっといてよ!」
「あーじゃあコレ全部俺のな」
袋を持ってキッチンまで歩こうとすると慌てた様子でこちらに駆けてきた。
「ちょ、だめだめ!アイスない夏とかわたしがとけちゃう!」
俺の手から袋をひったくるように奪ったAは、冷蔵庫の前で食材であふれた冷凍室にどうおさめるか考えていた。
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作者名:無色 | 作成日時:2018年8月23日 23時