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音羽さんに呼び出されたのは普段人通りが少ない非常階段だった。
「突然お呼び立てして申し訳ありません。」
『い、いえ…後は帰るだけだったので大丈夫です…。』
「…それでは要件は手短にお話します。Aさん、私達がお付き合いをしていることを誰かに話しましたか?」
『えっ?』
「我々の関係を誰かに話したか、と聞いているんです。」
『あ、えっと…中学の時の友人と………あとは元一に話しました…。工学技士の徳丸 元一です…。』
「徳丸 元一、」
『まさか音羽さんがMERに来るなんて思ってなかったので、お見合いした事と相手がどんな人かを少しだけ話したんですが………まずかったですか?』
「………いえ。ですが私とAさんが交際しているということはここだけで留めておきましょう。彼…徳丸さんにもそのように伝えておいて下さい。」
『………理由を、お聞きしてもいいですか?』
「……それは私が官僚だからです。それ以上もそれ以下もありません。………兎に角、この事は他言無用で。それでは。」
音羽さんはそう言うと、非常階段の扉を開けて出ていってしまった。
ぽつんとこの場に取り残された私。
交際している(はず)の音羽さんとの本日の会話はものの5分で終了した。
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食事を終えてベッドに寝転ぶ。
ぼすんっと布団が音を立ててスプリングが軋む。
ご飯を食べればこのモヤモヤも晴れるかと思ったが依然としてAの心はモヤモヤしたままだった。
「にゃあー」
『ん?』
主人が食事を終えたのを見計らって、ししゃもはここぞとばかりにベッドに寝転ぶ主人に甘えだした。
Aもそんなししゃもに応えるように指先であらゆるところを撫でてあげる。
それでもAは段々と撫でる指を疎かになっていき、仕舞いにはいつの間にか天井を見つめていた
『……………わかんない、なぁ。』
どうしてこんなにモヤモヤしているのかも。
そのモヤモヤの原因が何か、なのかも。
恋愛初心者のAには分かるはずもなかった。
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mado(プロフ) - 愁さん» コメントありがとうございます。これは万が一、二次創作物に知識がない方が読んでしまった時に公式ではない、一個人の創作物であるという説明で明記させて頂いております。紛らわしい書き方で混乱させてしまいましたら申し訳ありませんが、ご理解いただけると助かります (2021年9月10日 16時) (レス) id: c324cc81b5 (このIDを非表示/違反報告)
愁 - はじめまして(*^^*) いきなりすみません。 ご説明に書いてある通りドラマとかとは全く 無関係ですけど。。。 登場人物とかにドラマと同じ名前(役名)を使っているってことなんですよね? (2021年9月10日 15時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
mado(プロフ) - 七海さん» コメントありがとうございます・・・!私の癖で分かりにくさせてしまい大変申し訳ありませんでした。ご指摘ありがとうございます、以後統一するように気をつけます。 (2021年8月22日 3時) (レス) id: c324cc81b5 (このIDを非表示/違反報告)
七海 - 初めまして!楽しく拝見させて頂いております。差し出がましいとは存じますが気になったことを…。本文ですが、本人目線と第三者目線が混在しており、少し分かりにくい時があります。もし差し支えなければ、本人目線もしくは第三者目線で統一して頂けると嬉しいです。 (2021年8月22日 3時) (レス) id: 14af18fee1 (このIDを非表示/違反報告)
mado(プロフ) - 梨子さん» 個人的に元一くんのセリフ考えるのが楽しくてつい番外編を書いてしまいました;;本人不在で話している内容が地味に1番キュンキュンすると思います笑! (2021年8月18日 20時) (レス) id: c324cc81b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mado | 作成日時:2021年8月10日 19時