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見逃してよオムファタル/1 ページ34

運命の糸は切れないと、誰が言った
小指に絡まっているのが運命の糸だと、誰が説いたというのだろうか
誰がなんと言おうが、私の指に巻き付いていた糸は、たった今切れたところであった









告白したのは私の方だった。
ダメ元で…といえば不誠実な気はするが、一方通行でも構わないと口にした思いは、案外簡単に通じた。
幸せだなぁ、が口癖になる日が来るなんて思ってもいなかった。彼が休日に映画館へ連れて行ってくれること、料理が得意なこと、愛情表現が意外に素直なこと、その全てが私しか知らない物だと思えば、つい顔がにやけてしまう。

この幸せは、彼といる限りずっと続くのだと、そう信じて疑わなかった。
だから、その幸せがすり替わっていただなんてそんなの、考えもしなかったんだ。







__『限界まで、幸せに』







誰かが耳元で囁いた。絆すかのように、諭すかのように、たったその一言に深い意味を込めて。

限界とは、何処のこと?
幸せとは、なんのこと?

分からない、意味が、よく分からない。
でも、その笑顔はよく知っている…ような気がした。

知らない男が手を離した。
ごめん、と、酷く顔を歪ませたその顔に、謝るのはそんな顔をさせてしまう私の方だと思った。






.




.






「Aさん」

心地良い声が、鼓膜を擽る。どうやら昼寝をしていたようだ。

目を開くと、キラキラとまるで宝石を練り込んだような美しい銀色の髪が視界に入る。
それを辿るように顔を上げると、アメジストの瞳と目が合う。



「どうかしましたか?

__とても、酷い顔をしていますよ」



夢に出てきた彼とは違うその顔に全てを思い出した私はその瞬間、確かに絶望した。

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苺果汁(プロフ) - とくめい様、ねむい様、素敵な作品をありがとうございました! (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
苺果汁(プロフ) - コメント失礼致します。殆どの夢主やあんスタキャラが自殺を選ぶ中で三毛縞さんだけが彼女の幸せを願って生き続けることを選んでいるのが胸に刺さりました。三毛縞さんのソロ曲が彼の本心であるのなら本当にそう行動しそうだなと思い、思わず涙が出てしまいました; (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - まめだいふくもちさん» わああまめさんありがとうございます光栄です…!コメント見た瞬間息止まりそうでした本当にありがとうございました…! (2018年3月21日 8時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - コメント失礼します。お二人とも好きな作者さまなので、お二人の合作短編が読めてとても嬉しいです。忘愛症候群という切ない題材を繊細な文章で書き上げられていて、どの話も素敵でした。作品を書いてくださってありがとうございました! (2018年3月18日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とくめい/ねむい x他1人 | 作者ホームページ:ございません  
作成日時:2018年3月17日 18時

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