旋律(気象系/J×N) (ページ3)

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つまらない文字列の集まり
またその売上のことを言われた
さすが、新進気鋭の松本先生ですね
是非、うちでも1本書いてくださいよ
利益のために書いてるんじゃないのに

小説のネタに初めて困った
全くペンが進まないなんて初めてだ
編集の人に原稿が遅れると連絡を入れた
珍しいっすね、それだけだった

久々に動画というものを見た
ネタ探しもかねて、だと思う
ジャンルは問わず、何でもかんでも見漁った
1本、気になる動画があった
顔は見えない人が、黙々とピアノを弾き続けるだけ
ただそれだけの動画だった
何度も何度も繰り返して見た
その旋律が、俺を掴んで離さなかった

詰まっていたのが嘘のようにペンが進む
何度も聞いた旋律にのせて
美しい文字列が出来上がっていく
こんな感覚いつ振りだろうか
デビューした頃から忘れていたかもしれない
言葉を紡ぐのが、楽しくて仕方なかった

その小説は、俺の最大のヒット作となった

勿論、映画化の話が持ち上がった
役者とか監督は正直誰だっていい
彼に、彼の旋律に映画を飾ってほしい
それだけを伝えた
完成が今から楽しみで仕方ない
脚本も自分が書くと手を挙げた
あの旋律にはどんな言葉が合うだろうか
そんなことを考えてばかりいた