こういうこと ページ2
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七海side
これまでにも、こういうことは度々あった。
高専時代、私と灰原の二人だけの任務でのこと。
二人とも怪我をして、かなりギリギリだったとき、当時から一級呪術師だった彼女が颯爽と現れ、私と灰原をいとも簡単に救って、すぐに去っていった。
あとで当時の補助監督に聞いたら、彼女はそのとき、任務が入っていて、その任務地はかなり遠かったと。
つまり、遠かったのに、わざわざ私たちを助けにきてくれていたということだ。
結果的に、私がいるときに彼女は現れる。
これで、自惚れるな、諦めろと言われても、正直無理な話だ。
もしかしたら彼女も私のことを、なんて思っていた時もあった。
だが、彼女はもう…既婚者だ。
彼女の左手薬指に光るものは、会うたび私の心を抉る。
彼女の高専卒業直後、はにかんだ表情で、結婚したと聞かされたときは、目の前が真っ暗になって、吐きそうになった。
『はい、終了』
そう言って、ぽんと私の脇腹に触れた。
「ありがとうございます…」
すぐに踵を返す彼女の腕を反射的に掴んだ。
『なに?七海…』
彼女は振り返らなかった。
でも、すごく甘い声に聞こえるのは、私が彼女に惚れているからなのだろうか。
「なんで…なんでこんなことを…」
『七海…痛い』
「…!すみません…」
彼女の腕をパッと放す。
『後輩助けるのに、何か理由がいる?』
「そんなことを聞いてるんじゃ、」
私が俯いたとき、彼女は小さくため息を吐いた。
『…"七海だから"』
「っ!!」
その言葉を聞いた瞬間、体が勝手に動き、彼女の細い腰を後ろから引き寄せていた。
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怜。(プロフ) - コーンクリームコロッケさん» コメントありがとうございます!そんなふうに言っていただけるのすごく嬉しいです! (11月29日 23時) (レス) id: 65413915ce (このIDを非表示/違反報告)
コーンクリームコロッケ(プロフ) - サイコーすぎて泣いた…… (11月29日 8時) (レス) @page47 id: 45395c9c17 (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - 真さん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです😭😭無事に完結できました!ありがとうございます! (8月21日 23時) (レス) id: 65413915ce (このIDを非表示/違反報告)
真(プロフ) - これからの更新が楽しみで仕方ないです!!!!!これからも頑張って下さい!!!! (8月21日 1時) (レス) @page46 id: dec522902b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜。 | 作成日時:2023年8月2日 23時