水の龍 ページ9
.
「今…どうなったの…？」
「元の場所に飛ばされたみたいだね…」
毛倡妓に答えるように河童が言った。
屋敷の敷地内にはいるが、建物に入る直前の場所に飛ばされていた。
首無は悔しそうに顔を歪め、黙りこくっている。
「この感覚は覚えがある。
遠野で似たような状況になったことがあるんだよ」
リクオが話し出した。
リクオは遠野の"迷い家"のことを三人に伝えた。
「っなら、その源を探しましょう！早くしないと…！」
「あぁ…」
リクオが目を瞑り、その畏れの根源を探る。
首無たちも同様に集中した。
同時に目を開けた四人は目を見合わせた。
場所は分かる。
具体的に何が根源なのかはわからない。
だが、場所"だけ"は分かる。
「例の場所…みたいですね」
「そう…だな」
「でも、その場所に行こうと思ったら、どこかに飛ばされるんでしょ？
堂々巡りじゃない…！」
そのとき三人は、河童がしゃがんでいることに気づいた。
「「「河童？」」」
「これ…なんですかね…？」
河童がそう言って、指差した先には小さな小さな可愛らしい龍がつぶらな瞳でこちらを見ていた。
その龍は明らかに普通の龍ではない。
いや、そもそも龍がいることが普通ではない。
だが、その異様さは、その身体が透明なところからきていた。
まさに水…のような。
そのとき、首無の頭にある記憶が浮かんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 79人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜。 | 作成日時：2020年8月13日 13時
