母の形見 ページ10
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｟回想｠
"A、何してるんだ？"
彼女はあるものを見ていた。
"あ、義賊さん、これ見て"
そう言って彼女が見せたものは、彼女の母親の形見である簪だった。
よく見ると龍の絵があしらわれているもので、とてもお洒落で繊細で美しかった。
女性が使う簪にあしらわれていてもなんの違和感もないほどだった。
"龍はね、水の神様を象徴してるんだって。
母と二人で生活してたときから、生きる上で水の大事さをよく教わっていたの。
だからね…この簪は宝物なの"
彼女はとても大切そうにその簪を両手で包んだ。
｟回想終了｠
ーーーーー
首無はしゃがんで、その小さな龍の前に手を差し出した。
すると、首無の手に寄り添った。
「っ！リクオ様、Aの妖気が感じられます…！」
「なに？」
その龍は首無の手から離れ、その先に進んだ。
そして、後ろを振り返る。
「…俺らについて来いって言ってるみたいだな」
「…行きましょう…！リクオ様！」
「あぁ…！」
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その小さな水龍について行くと、全く見たこともない扉の前に辿り着いた。
首無が彼女と二人でここに来たときにも、先程、地下への隠し扉に向かっていたときにも見たことのない、例の場所とは全く関係なさそうな場所。
彼らが不思議に思っている中、その小さな水龍は尾を使って、その扉を指し示した。
「開けろってことか…」
リクオがそう呟いたあと、首無がその扉をゆっくりと開いた。
すると、その先には…
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作者名：怜。 | 作成日時：2020年8月13日 13時
