逆ナン(?) ページ9
「……おい総悟。俺はいつあの間に入ればいい」
「知らねぇですよ」
近くにいると言うのに、そいつらのやり取りはまだ続いていた。
「美しいお嬢さん方、ここは人通りも多い。その美しさを他の男達に見せるなど、私はとても心配でございます。」
「「きゅん…っ///」」
「ふふ、赤い顔もお可愛らしいですね。綺麗ですよ?」
「「ズッキュン!!」」
……何だあれ。もはや話の間に割り込めないところまで来たらしい。女二人大丈夫か、相手女だぞ。
「……あ、いけない。そろそろ戻らなくては。お嬢さん方、私はこれで、」
「あ、ま、待って!」
そこから去ろうとした女を引き止める女二人。
「あ、あの…もしよろしければ、お礼に私達と、一緒に……///」
「お祭り、ま、回りませんか……?///」
そして逆ナンをした。
「え、何あれ。あれどういう状況なの?」
「すみません土方さん、僕にもよく分からないです。」
俺にもよく分からない状況だ。女が女をナンパしている所なんて初めて見たわ。
「……せっかくのお誘い、申し訳ありません。私も用事がありまして。…あぁ、本当に申し訳ない」
「い、いえ!無理に誘った私達が悪いんです!」
「こちらこそごめんなさい!用事があるなら早く済ませた方がいいですよ!」
「お嬢さん方が謝ることじゃありませんよ。心優しいお気遣い、ありがとうございます。美しい御二方にそのような言葉をかけて頂いた私は、幸せ者ですね。」
「それでは、私はこれで」と言い、女は去ろうとする。
「あ、せ、せめて!せめてお名前を!」
いつの時代劇だ。
「私の名ですか?」
振り返った女の後ろ髪が風に揺れる。
「──────・・・赤谷、
赤谷結木と申します。美しいお嬢様方」
…………あ、気のせいじゃなかったらしい。
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作者名:みぃ太 | 作成日時:2018年4月8日 15時