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重なる手 ページ44

真っ赤にさせながら俺の名前呼んで、



「…ぎ、銀さんから聞いた。……その、送ってくれたって」



視線を合わせないそいつは垂れかかった髪を耳にかけた。



「旦那に言われたんでね。どいつもこいつも先に帰るし」



「で、でも……ありがと、」



「言っただろィ、旦那に言われたから送っただけだ。だから礼はいらねェ」



「素直に『どういたしまして』も言えないのかお前は」



「テメェにゃ言われたかねェわ」



そんな会話をかわし、壁に背を預けた俺達はどことも知れず一点を見つめていた。



「変なものだな」



「テメェがか。あぁ確かに変人だ」

「黙れ女の敵」

「テメェこそ黙れ大の男嫌い」



そうじゃなくて、とそいつは続ける。



「……私は、お前が嫌いだった」



「だろうな」



「まずはお前男だし、ドSだしラスボスだし悪魔だし、こっちが嫌だって言ってるのに強制的に行動に移すし。人間としても嫌いだ」



「悪口かよ。ドS舐めんな打たれ弱いんでィ」



「………でも、」



でも、と言った結木は少し黙り、また口を開いた。



「悪い気はしない」



俺は言葉を失った。



「お前といる時間が、わりと気に入ってる」







そう言うと、結木は手を少し伸ばし





その小さな手を







「……お前となら、触れられる」





















俺の手と重ねた。

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作者名:みぃ太 | 作成日時:2018年4月8日 15時

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