検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:72,429 hit

お人好し ページ5

───・・・



「…これ、使って」




そう言って女は俺の目の前に救急箱を置いた。




「……」



「…なにその目」



「何とはこっちのセリフでィ、」




さっきまで敵意を向けていた女が、態度を変えたのだ。



いや、眉間にシワ寄せたままだから態度は変えていないだろうが。



……つーか、




「何でそんな離れた所にいるんでィ」



「ここが私の定位置」




女の座る場所は壁際。むしろもっと奥に行けないかとギューギューに壁へと張り付くような感じだ。




「……定位置にしちゃ窮屈そうだな」



「んなことない。極楽極楽」




そういう割にはキツそうだな。と思いながら女を観察する。




「な、なに」




女が俺の視線に戸惑う。




「み、見てないでそれ早く使えってば。止血程度には出来ると思うし」



「お前、お人好しか」



「いいから使えって」




女は人睨みするとすぐに目をそらした。



あ、こいつやっぱりお人好しか。不法侵入して来た男に世話焼くなんざ、とんだ人間だな。



……それにしても、




「……おい」



「!な、な、なに」




声がかなり震えているような。




俺が怪しいからか、



それとも血とかの類が苦手なのか、




……いや、なんか違う気がする。




「…普通に座ったらいいだろ」



「う、うるさい。指図するな」




……いや別にしてねぇけど。




自分から手当するように言ったクセに何をそんなに怯えてんだか。




「…なァ」



「今度は何!」



「普通こういうのって、お前が手当してやるんじゃねぇんですかィ」



「……は、い?」




俺の言葉にキョトンとした女。そして、顔を引き攣らせた。




「おっかしいなー。俺ァ無理矢理ここに連れてこられたってのに、手当くらい自分でやれだと。あー痛てーなー、手当してくんねぇかなー」




俺の言葉にピクピクと反応する女。そして、




「う、動くなよ、」




女はようやく、距離を縮めた。




あ、これはやっぱりお人好しだ。

手当てと距離→←弁明の余地



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (84 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
155人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 真選組 , 沖田総悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みぃ太 | 作成日時:2018年4月8日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。