弁明の余地 ページ4
───・・・
「……泥棒?」
「どう見たら泥棒に見えんでィ」
「他人の家に無断で入っている時点でそうでしょ」
そういう女は俺に矢を向けたまま動かない。
「俺ァ警察だ。隊服見て分かんねーのか」
「不法侵入に変わりなし」
「おい矢向けんのやめろ、こっちだって好きで不法侵入したわけじゃねぇ。これ以上お巡りさんの言うこと聞けねーんなら、逮捕だな。」
刀を鞘に収めて両手をヒラヒラさせた。
眉間にシワを寄せた女は仕方なさそうに構えをやめる。
「……で、どうしてここに」
「…ま、ちょいと追われててね」
「え、警察に?」
「逆だ、逆。……たまたま見つけたこの道場に隠れさせてもらったわけだ。」
やっと休めると思い、背中を壁に預けた。
「……足、どうしたの」
女にそう聞かれ、口を噤む。
「……転んだ」
「どうやったらそんな傷出来るんだよ。
………その状態で座らないで、道場が汚れる」
女が放つ冷たい言葉に内心ため息を吐く。
…ま、仕方ねぇかと思いながら立つと俺は「すまねぇな」と言い去ろうとする。が、
「………こっち」
女は道場の入口の戸を開けて、俺に言った。
「俺、こっからでも帰れっけど」
「あ、それと靴も脱いでよ。ここ掃除するの大変だから」
「おい聞いてんのか」
「ここ真っ直ぐ行って着きあたり右の部屋ね。いなかったらサツに通報する」
女はそう言うと先に道場から出て行った。
「………なんだ、あの女」
仕方なく、俺は言うことを聞くことにした。
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作者名:みぃ太 | 作成日時:2018年4月8日 15時