第51話 ページ9
───･･･
俺は蘭の研究室にいた。
山崎が調べたことによってその死体の身元は蘭の言っていた奴と同一人物だと判明。
沖「にしても、お前も随分と知り合い多いな。あと医者の友達は何人いるんでィ、人間嫌い」
「友達じゃねぇっての。……これでも、元･幕府専属医師だったからね。江戸の医者辺りは把握してる。」
そう言う蘭の表情はどこか暗かった。
沖「……で、お前は何か分かったのか」
「え、な、何が？」
沖「事件についてに決まってんだろ。鑑識のテメェが動かねぇとこっちは何一つ分からねぇままだ。」
「……いや、今回も綺麗に証拠はなくなってた。あの状態だと、ほとんど何も見つからないだろうね。」
この件に関しては蘭もほとんどお手上げ状態らしい。
沖「医者を狙ってるって話ならテメェも危ねぇんじゃねェのか。狙われる可能性は…」
「私は『元』医者だよ。なに、心配してくれるの？」
沖「してねぇ。あ、でも俺のサボりスポットが減るってのは困るな。」
「なに私が死ぬ前提で話してんだワレ、」
沖「ところで、一応聞くが。お前戦えんのか？幕府の人間だったんなら、それなりの護身術くらい学んでるだろ」
そこで蘭は黙り込んだ。
「……人間ってRPGに出てくるキャラのキャラクター性と同じだと思うんだよね」
沖「は？」
突然何を言い出すんだ、こいつは。
「例えば、魔法使いは巨大な魔力を持っていて魔術なら他の職業に負け無し、でもHPは少ない。格闘家なら誰よりも強い身体と拳で相手をなぎ倒す、でも知識は脳筋レベルと言っていい程ない。……みんな、何かしら欠点はあるでしょ？」
沖「……。」
「私はそういう職業でいうなら商人だね。高い計算力で相手に商品を買わせて、自分の利益をどんどん上げる。………戦うべきはその商業の場であって、戦闘向きじゃない。」
沖「つまり戦えねぇんだな」
「いや、だから。戦闘向きじゃないだけで…」
沖「遠回しに戦えねぇっつってんだろ。長々と聞いた俺がバカだった。」
ほんと、聞いて損した。
何か盛大に語り出したかと思えばあまりにもくだらないことだった。
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作者名：みぃ太 | 作成日時：2018年3月27日 15時
