＼噂のチャラみつくんｯｯ！／ (ページ18)

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「なにぼーっとして。疲れたか？」
「あっいえ、大丈夫です！全然！」

・

ダメだよ、北山さんには
彼女がいる。
それに北山さんはモテるんだから
私なんて恋する資格もない。

・

「随分と寒くなったなぁ、ん～寒い寒い。」

鼻の頭を赤くした北山さんは
なんだか可愛くて
さっきまでの感情なんて
すぐ忘れてしまった。

「これ、良かったら使ってください」
「んー？おっカイロじゃん。ラッキー」

ちょうどかばんに入っていた
新品のカイロ。
帰るときに使おうと思っていたけど
寒そうな北山さんを見てたら
自分の事なんてどうでも良くなった。

「あったけぇ～…へへ、ありがとAちゃん」
「ふふ、よかったです。」

何気ないこの時間も
なんだか幸せで。
このまま時が止まればなぁ
なんて思ったりもした。

その時急に温かいものが頬に触れた。

「ふは、つめて笑」
「な、なに、なんですか！？」
「んー？温かいのおすそ分けだよーん」

頬に触れたのはカイロで温まった
北山さんの手。
その手からじんわりと伝わる暖かさは
カイロだけのものじゃない気がした。

「どう？温かい？」
「…ぬ、ぬるいです」
「ははは、んだよ～ぬるいかよ～」

パッと離された北山さんの手。
ぬるいなんて嘘。
触れられた頬は信じられないくらい熱くなっていた。
これ以上触れられてるとおかしくなっちゃいそうで
嘘をついた。

「ぬるいってよー、カイロさん。
もっと温めろってよー。」
「そ、そんな事は言ってないです！」

・

「あれ？Aじゃん、なにしてんの？」

その時私の名前を呼んだ
聞きなれた声。
振り返るとそこには裕太の姿があった。