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「おい佐藤！おしぼりもらってきてくれ！！」
「はい！今すぐに！」
「猪狩！こっち飲み物空いたぞ！」
「はい！ビールでいいですか？」
猪狩と龍我くんは座る間もなく、テーブルからカウンターから動き回っている。
取り巻きに囲まれた瑞稀さんと橋本さんは機嫌よく談笑している。
あ...何かやってる。
数人で集まって...恐らくゲームに負けたらしい後輩が上裸になり落書きされているのを見て爆笑している。
「食べてる？」
隅っこに座る私たちの前に、唐揚げが置かれた。
「カンナさん...ありがとうございます。」
「...あなたが、Aちゃん？」
私と龍斗くんの間でひっそり座るAを見る。
「...へ、」
「初めまして、一応この店の女将でカンナって言います。岩ちゃん、あ、照の幼なじみで龍斗のことは赤ちゃんの頃から知ってるの。」
「あ、はい...松村です...」
「よく頑張って来てくれたね...大丈夫、あなたは自分が思うよりずっと強いはず。」
「...え？」
Aにそう言うと、顔を上げ瑞稀さんたちを見るカンナさんは顔をしかめて龍斗くんに小声で言う。
「...さっきからアイツら調子こきまくっててこっちはキレそうなんだけど！ねぇ、私がシメさせてもらってもいい？多分5分もあれば片付く、」
「ダメです！お気持ちだけいただきます。」
「そうなの？...まぁいいわ、そろそろウチの見習いが仕掛けるっぽいわ。」
「ハイボールレモン増し増しお待たせしやした！大将自ら心こめて入れさせていただきやしたぁ！」
大光くんの威勢のいい声が響く。
「あ、それ俺。」
「はい！俺様にハイボールレモン増し増しお持ちしやしたぁ！！」
瑞稀さんにハイボールを渡すと、なぜか背後で構える大光くん。
そしてジョッキを口に運ぶ瞬間...
「うわッ！！！」
突然ハイボールが吹き出し、ひっくり返る瑞稀さん。
「おい！！何やったんだよ！！」
「すいやせん！メントス入れました！」
「は？何してくれてんだよ！！」
「だからメントス入れました！ちなみにグレープ味っす、すいやせん！！」
「ふざけんなよこの野郎、」
瑞稀さんが大光くんに掴みかかろうとするのを、橋本さんが止める。
「もしかしてサービスだったんじゃね(笑)？それより瑞稀びしょびしょじゃん！すみませんおしぼり下さい！」
「はい！今お持ちします！！」
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作者名：Momanao | 作成日時：2021年1月4日 1時
