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(優太Side)

「どう、進んでる?」

「あ、どうにかこうにか...」

1人残ってパソコン作業をしていると、戸塚先生がやってきた。

「最近、また遅くまで頑張ってるみたいだね。」

「はい...学業を頑張るってある人と約束した、というかさせられたんで。」

「そうなんだ(笑)。教員としてはそう言ってくれる人がいるとありがたいな。ところで、夕飯は?」

「あ、まだです。」

「じゃあ、付き合う?」

「え、いいんですか?」

「うん。一杯飲みたいし、自転車は置いていこうか?」

戸塚先生に連れられ、先生行きつけの居酒屋さんへ行く。


「あ、これ...」

先生がテーブルに置いた酒瓶。


「うん、岩本酒造の新酒。」

岩本酒造とは、静岡にある造り酒屋さんで、戸塚先生の授業のときに社長さんが特別に講義をして下さったことがある。

「新酒、出来たんですね。」

「うん。岩本さんが初めて造ったお酒だって。まだ静岡でしか販売してないみたいなんだけど、特別にもらったんだ。」

1杯飲んでみて、と先生に促されて飲んでみる。

「...美味しい。」

「でしょう?」

美味しい。
控えめだけど、どこか品があって飲みやすい。

「はい。とても美味しいです。」

「ならよかった。...なぁ、岸。」

「はい。」

「最近、なんか悩んでる?」

「え?」

「いや、岸が何かに没頭しているときって、だいたい悩んでるから。今も研究頑張ってるし。」

「うーん...まぁ、そうです(笑)。バレてましたか。」

「うん(笑)...学生はおおいに悩め!!」

「え?」

「って言いたいところだけど、それはさすがに無責任すぎだね。岸は来年4回生、か。論文も本格的にやっていかなきゃならないし、就職するのか、院に行くのか。たくさん決めなきゃいけないこともあるな。」

「...はい。」

「でも岸なら大丈夫な気がしてる。お前らしく真っ直ぐやればいいと思う。途中で失敗しても、またやり直せばいい。あきらめずに最後までやることが大事だよ。」

「...それは、何を以てしても、ってことですか?」

「そうだよ。何でも。勉強でも恋でもってことだよ(笑)。」

「え、先生...分かってたんですか?」

「まぁ、何となくね。」









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作者名:Momanao | 作成日時:2019年9月8日 23時

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