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新学期が始まった。
...まだまだ暑い。
若干夏バテ気味の慎太郎と健、そして俺は3人揃って学食で冷やし中華を食べている。
「久しぶり!!」
「あ、美久ちゃん!」
健がトーン高い声で手を上げる。
「3人とも元気だった?...こともないね。食欲、落ちてんじゃん。ま、これでも食べて元気出しなよ。」
ドンっと目の前に置かれるお菓子の箱。
「お!!これ北海道銘菓じゃん!行ってきたの?」
「うん。友達とね。」
「やっぱりお嬢の自宅生は違うなぁ!こっちはバイト三昧だったっていうのに。な、優太?」
「うん。美久、ありがとうね。」
...このお菓子、めっちゃ美味しいよね。
今度のキャッチボールのとき、Aさんと食べよう。
「あ、優太くん、ちょっといい?」
俺の隣の椅子に座る美久。
「あのさ、私変わったなとか、思わない?」
「え、どこ?見た目?」
「うん。」
「そんなん誰でも分かるやん。髪、」
「こじけんは黙ってて!!ねぇ、どこだと思う?」
「うーん...」
しばらく美久と見つめ合う。
「あ!分かった!!」
「うん、何?」
「夏休み、日焼けしちゃった、とか?」
「...もういい。」
肩を落とし、美久が去って行く。
「...お前、アホか。」
横で慎太郎があきれた顔で言う。
「髪型!!変わってたじゃん!」
「え?そうだったの?」
「美久ちゃんかわいそすぎやな。せっかく優太のためにおしゃれしてんのにさ。」
健も頷いている。
うわぁー、気が付かなかった。
ごめん、美久。鈍すぎる俺で。
「おい!優太!探してたんだぞ!!」
突然後ろから大声が聞こえた。
振り向くと...同じく冷やし中華をお盆にのせた、優吾さん。
「あ、優吾さん、お久しぶりです。」
「お久しぶりじゃねーよ。誰だよあの浴衣美人は?!」
「何?!」
「浴衣美人って?!」
気だるそうにしていた慎太郎と健が、途端に目を輝かせる。
「優太、どういうこと?!」
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作者名:Momanao | 作成日時:2019年9月8日 23時