nectar《nrs》 (ページ3)

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＃２ページ3

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私の通う大学はかなり広い。

本棟の他にそれぞれの専門の科目で使う棟があり、寮もコンビニもあって、大学構内で生活をしようと思えば出来る。

本棟とコンビニは比較的近いが、そこに行き着くまでに街中でいう路地がいくつかある。

その路地の横を通り過ぎようとすると、ふと、甘い香りが鼻を掠めた。

本能的に其方を向いてしまう。

これはきっと‪Ωの…

案の定ひとりの女性が蹲っているのが目に入った。

脳を溶かす様な甘い香りに足元が覚束なくなってしまう。

鞄から1回分の錠剤を取りだし、その女性の元に足を運んだ。

『あの、』

「ひっ、」

此方を向いた女性の顔は紅潮しており、目は潤んでいる。

近付く程に濃くなる香りに頭痛すら覚える。

身体が熱く、今すぐに鎮めたい。

『…これ、飲んでください。抑制剤』

「えっ、」

差し出した錠剤を凝視する彼女。

私の目と薬に疑心の目を向けた。

『そこら辺の盛ってる‪α‬と違うんで。まあ、飲まないで喰われたいってのなら別ですけど』

少々突き放してしまっただろうか。

まだ微かに向けられた疑いの目は変わらないが、彼女は私の手から錠剤を恐る恐る受け取った。

それを確認した私はその場を足早に立ち去った。

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