nectar《nrs》 (ページ20)

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＃１９ページ20

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「ごめんね、俺の家で」

『いや、そんな！あらきさんの手料理食べれるなんて思ってもなかったです』

約束当日、待ち合わせ場所に行くと今日はいつもと違う場所で話そうと提案され、あらきさんのあとを付いていったころ、目的地はあらきさんの家だった。

めい以外の男性の家に入る機会はなかなかないためかなり緊張してしまうが、あらきさんはそんな私の緊張を解すかのように、いきなり本題ではなく勉強の話や料理の話などをしてくれた。

そのおかげで緊張もだいぶ解れた、と思った次にあらきさんが口を開く。

「今日ね、本当はなるせも呼んでたんだけど、彼奴疲れてるからって来なかったんだよね」

『…そうなんですか、』

「ね、なるせの事みてどう思った？」

私は思わず眉間に皺を寄せそうになるのをあらきさんの作ってくれた料理を口に入れることで我慢して、1度目の前の彼から視線を逸らす。

『彼がヒート来てないって本当なんですか？』

「本当のはずだよ、…この前Aちゃんが言ってたように、ホルモンの分泌障害で、一般的なΩよりもヒートが遅いって医師に言われてる。黙っててごめんね、Aちゃんはどうやって見てるかなって試すようなことしちゃった」

正直、あらきさんが私を試したことにはなんとも思わない。

それよりも、彼奴は今まで医師にも機能障害だと言われていたのに、それすらも跳ね除け完全にヒート状態になっていた事実と、その先にみえる受け入れ難い真実から目を背けたい。

「けど、やっぱり柔軟だなって思ったのは、運命の番の存在について言及したところ。そこら辺の医師は言わないからね、確証の無いことは」

言葉に詰まる私を他所に、あらきさんは次々と言葉を並べる。

その一つ一つが私の逃げ道を塞ぐようにのしかかっていることなんて知らずに。

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