nectar《nrs》 (ページ16)

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＃１５ページ16

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「A！！大丈夫だった？！」

李依なるせと初めて身体を重ねたあの日から既に1週間近く経っていた。

『大丈夫。どっかのΩにあてられちゃったみたい』

治まったと思えば相手に求められるように唇を奪われ、フェロモンに毒される。

1週間私は抑制剤を1日3回しっかり飲んだ。

それなのに変わらず訪れる疼きに、運命の番という言葉を突きつけられ続ける。

行為の度に増え続ける噛み痕も痛々しい程だった。

「A、何かあった？」

眉を下げ、不安そうに覗き込むめいにどこか安堵を覚える。

気付けば私は彼に抱き着いていて、肺いっぱいにめいの匂いを吸い込んだ。

幸い、朝の自習スペースには人は居なくて、誰かに見られているという様子もない。

「えっ、ちょっと、A？！」

『…大人しくしてて』

小さな頃から一緒のめいの匂いは懐かしく落ち着く。

不安に駆られる心配も無い。

…けれど、ドキドキもしない。

ゆっくりと顔を上げると、顔を真っ赤にしためいと目が合う。

口をパクパクさせて何か言いたげだが、どうやら言葉が出ないらしい。

「───────あれ？お取り込み中だった？」

誰も居ないはずの部屋に、2人以外の誰かの声が響く。

急いでめいから離れ、声のするほうを見ると、にやにやと笑みを浮かべているピンク髪の彼奴…李依なるせがそこにいた。

「…誰？」

めいが小声で私に聞く。

私はめいに返答せずに李依なるせの方へ声をかけた。

『何の用？』

「別に？甘い匂いに釣られただけ。…なあに？2人って付き合ってんの？」

めいがとてつもなく怪訝な顔をしているのが横目でわかる。

口を開きかけためいを手で制し、私はぶっきらぼうに告げた。

『そう。付き合ってる。だからあんたの付け入る隙は無いからどっか行って』

真ん丸な目を見開いた後、面白そうだと言う様に表情を変えて、言葉を発した。

「へえ！お幸せにね。あらきさんに話そ〜。…何事もなく永く続くといいね？」

そう笑った彼は私とめいに向けてヒラヒラと手を振って自習室から出ていった。

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