＃１１ ページ12
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一ノ瀬さんがそらるさん、と呼ばれている理由は 芸名からだそう。
まふさんも同様、まふまふという芸名から まふ、と呼ばれているらしい。
2人はとあるユニットを組んでいて、2人で歌を歌ったり 所謂芸能人に近い活動をしている。
2人の容姿を見ると、そう言われても納得がいく。
私は芸能人にめっぽう興味がないから、おふたりの事は知らなかったけれど、かなり有名らしい。
まふさんもそらるさんも同い歳で、α。
自分は天才だとか何だとか言われるのは別に嫌じゃない とまふくんが口に出した時に私は思わず固まってしまった。
「あはは、信じらんない みたいな顔してるね」
『…いや、』
「きっとAちゃんは自分がαである事に嫌悪を示してるもんね。色んな考えがあっていいとは思うけど、他の性を持った人はαになれない。逆も然りだよ。…だから、自分の持った性に自信を持って…運命を背負って生きる必要があると思うんだ、俺は」
じっと私の目を見詰めながら話すまふさんから目を逸らす事は出来ず、その言葉達は鉛のように重く腹の底に沈んだ。
強い覚悟が何処かにある様な 力強く、然し憂いも含まれている気がする。
「ちょっと喋り過ぎちゃったかな、俺少しトイレ行ってくるね」
ごめんね、と笑ったまふさんは立ち上がって、すぐそこの扉から出ていった。
あらきさんは机に突っ伏して眠りについていて、そらるさんとめいは更に酔いが回っているのかテンションは先程よりも上がっているように見える。
帰宅は何時になることやら、と溜息を吐いた時、ガラッと扉の開く音がした。
やっぱり男の人は早いのか なんて思考を巡らしながら まふさんのグラスに飲み物が入っていない事に気がついては、何を注文するか聞こうと振り返った…が、
「うわー、まじカオス」
そこに立っていたのは、低めの声の持ち主だとは思えない程に可愛らしい顔をした人だった。
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作者名：弥雲 | 作成日時：2021年9月24日 11時
