電話 ページ7
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prrrrr…
静かな部屋に無機質な電話の音だけが鳴り響く。
先程までは4人の男性の笑い声が響いていたものだから、より静かに感じてしまう。
ガチャり、という音と共にコール音が鳴り止む。
代わりに聞こえたのは聞き慣れたアイツの声。
なるせ「ん、」
『ん、じゃないでしょ?もー、生放送中なのに何であんなコメントするかなあ』
なるせ「いや、だってさ、」
『なるせが何を考えてそんなことしたかはわかんないけど、仕事の邪魔だけはしないで欲しいのわかる?』
私の言葉になるせが黙り込む。
少し強く言いすぎてしまっただろうか、けど、本心を隠すなんてしたくないから。
なるせ「…まさかAが他の人の写真集出すなんて思ってなかった」
『まあ、そんな、ねえ。最初は浦島坂田船さんの出す予定じゃなかったし』
なるせ「ふうん、けど写真集は出す予定だったんだ、」
『そうだけどさ、なーんでなるせがそこまで気にするの!』
なるせ「…だって、お前のカメラの向こうには、レンズの向こうには誰かがいて、その誰かはAに笑いかけてるわけじゃん、なんか、」
なるせはいつもの元気のある声ではなくてボソボソとギリギリ聞き取れる位の声で話す。
…仕事だから当たり前じゃんね?
なるせ「ね、もうひと案ってだれだったの?あらきさん?めいちゃん?それともそらるさん?他の人?」
なるせがどうしてここまで執着を見せているのかは分からないけど、そんなに気になるなら、と口を開いた。
『なるせ』
なるせ「え?」
『だーから、なるせだってば。あんたの写真集出そうと思ってたの。けどなるせって顔出ししてないでしょ?だから全部のページをなるせで埋められる確証がなかったの。それに、』
なるせ「それに、?」
『なるせと一緒にいる瞬間を世間に出せるほど私の心が広くなかったっていうか、』
私の言葉に電話の向こうの彼は黙り、沈黙が流れた。
『はいおわり、満足した?とりあえず、もう仕事の邪魔はしないこと!浦島坂田船さんには後で私から謝っとくから!』
なるせ「…は〜い、」
電話を切る前の彼の声色が、電話開始時の第一声よりも明るくなっていたのは気の所為、だよね?
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ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫)) - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみにまってます!(´;ω;`) (1月26日 18時) (レス) @page40 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - 雛さん» ご迷惑をおかけして申し訳ありません!Twitterのアカウントは 今回更新などお休みさせていただいていた際に消去したのでアカウントは存在しません… 先程パスワード公開をやめさせてもらったので閲覧できると思います!他の作品も更新しますので宜しくお願いします!! (2023年2月2日 21時) (レス) id: fb912efc07 (このIDを非表示/違反報告)
雛 - ここの書き込んでしまいすみません🙏弥雲さんの作品めっちゃ好きで、全部見てるんですけど、パスワード設定されている作品あるじゃないですか。弥雲さんのTwitterに何回とんでも垢が存在しないって出てて、パスワードわからないんですけどどうしたらいいですか? (2023年1月20日 21時) (レス) id: 212c043d64 (このIDを非表示/違反報告)
蓮華(プロフ) - いや、もう、ほんと、好きすぎて、、 (2022年1月16日 21時) (レス) @page35 id: 25ac245650 (このIDを非表示/違反報告)
弥雲(プロフ) - 雪猫と葛さん» 読んでいただいた上にコメントまでありがとうございます😢 嬉しいお言葉に思わずにやけました…雪猫と葛様もお身体お気をつけてくださいね!!これからもお付き合いよろしくお願いします🥰 (2021年12月17日 12時) (レス) id: 98855b1dbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:弥雲 | 作成日時:2021年8月30日 17時