◇電脳少年の受難◆*２* (ページ27)

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STAGE８ー９【櫻井】ページ27

大｢いたいっ！！｣

松｢我慢しろよ｣

大｢だったらもっと優しくしてっ！｣

彼女との戦いに
武器も使わず、無茶ばかりした智くんは

傷だらけの体を
松潤に手当てしてもらっている

俺も途中から参戦したが
智くんほどの大怪我にはならず軽傷ですんだ

ただ、
1人で突っ走った智くんに
松潤は怒って少し手荒な手当てを
智くんにしている

そのせいで
消毒液をかけられるたびに涙目になっていた

松｢ほら、後は自分で出来るだろ？
俺は、ご飯作るから｣

大｢...うぅ。松潤の鬼ｯ...｣

二｢すみません。僕のせいで...｣

大｢...何言ってんだよ、
ニノは音に縛られてたんだから
戦えなくて当然だよ｣

自分のことで
俺たちを巻き込んだことに
後ろめたい気持ちでいるのだろう

あの状況だったとしても
ニノにとって悔しくて仕方ないのだ

俺も、
理性が働かず本能で動いてしまったのだから
反省すべきところはある

そんなに自分を責めないでほしい

相｢あのさ！...その。。
あ！、松潤の能力が変わってたよね？！｣

松｢たしかに、
この前まで俺の能力は難しいって言ってたのに…｣

わざと
空気を変えようとした相葉くんだが

何も考えずに話し出したせいで
言葉に詰まっていたが

なんとか話題を出すことができた

二｢あれは...毒を連想させたら腐らせることも出来ると思って...。

それに、
彼女から三味線を奪えば
戦いは有利になるから

潤くんの能力を利用して、
使い物にならなくしたんです｣

改めてニノが凄いと感じる
あの時咄嗟の判断ができることも、
遠距離型の松潤を使うことも。

すべて計算した上での行動は
絶対敵に回したくないと思うほどだった

だけど
俺は今回のことより
ニノ自身について知りたいのだ

前回、
糸を操る青年にかけた
身が震えるような言葉や

怒り狂う彼女に
強く抱きしめたこととか

なにか深いものを
ニノは独りで背負ってるみたいで
いたたまれない気持ちだった

櫻｢なぁ、ニノ...。｣

二｢なんですか？翔さん｣

たとえ
お前を傷つけることになるとしても

俺は知りたい。

もし話してくれた時は
必ず救ってみせるから

櫻｢お前はどんな実験をしてたんだ｣

俺の吐く言葉は
冷たく、色のないものだったかもしれない

それでも
ニノは、悲しそうに微笑んだ

どこかでパンドラの箱を開けた音がした