居ないはずの彼女は 1 ページ4
所変わって、くの一教室。
時も少し戻って昼時。
まだ午前の終業を告げる鐘が鳴っていないのだからきっとみんなは授業中なのだろう、とAは天井を見つめていた。
ぐしゃぐしゃになったかけ布団を自身の腹回りに集めて、それを掻き抱くように握りしめていた。
シ「Aちゃん、入るわね。」
『……はい』
急いで起き上がろうとすると、じくじくとした痛みが再び腹部を襲った。
シ「あぁ、無理に起きなくていいのよ。食堂のおばちゃんが食べられそうならって、昼食を持ってきてくれたの。」
白米ではなく小豆の混ざった匂いがして、Aはその意味を渋々受け止めた。
『めでたい事、なんですもんね。』
シ「そう、だから御赤飯。おばちゃん、気を遣ってAちゃんの分だけ作ってくれたのよ。」
しゃんと背筋を伸ばして正座をすると、自身から何か溢れ出るのを感じて思わず顔を顰めた。
『女として産まれた以上、いつかこの日がやってくると分かっていました。……私は、思っていたよりもずっと覚悟が足りなかったのかもしれません。』
シ「……それは、忍者になる事に対して?それとも初潮を迎えること?それとも双方?」
『っ……それは、』
シ「ごめんなさいね、どうして問い詰めるような事を言ってしまうのか……。あなたがどうしたいのか、私はその考えに寄り添ってあげないといけないのに」
静かに退室する山本シナ。
Aはゆっくりとした動作で箸を握ると、御赤飯を見つめた。
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まーぶりん(プロフ) - この作品とても面白くて、何回も読ませていただいています!続き楽しみにしています!更新頑張って下さい✨ (2021年11月21日 15時) (レス) @page15 id: 045921842f (このIDを非表示/違反報告)
obipurei(プロフ) - こまごまと。さん» 楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年2月26日 17時) (レス) id: 186218a2f3 (このIDを非表示/違反報告)
こまごまと。(プロフ) - obipureiさん» コメントありがとうございます。何度も書き直しをしているので更新はもう少し時間がかかりそうです。次の話も見てもらえると幸いです! (2020年2月26日 7時) (レス) id: 63804f2e9e (このIDを非表示/違反報告)
obipurei(プロフ) - おもしろいです!もう更新はされないのですか? (2020年2月24日 23時) (レス) id: 186218a2f3 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 続き楽しみです(*´-`) (2020年2月9日 3時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こまごまと。 | 作成日時:2019年10月14日 13時