ずっと、 【Sousukeside】 ページ5
山崎宗介様
拝啓
残暑の残る初秋の候。いかがお過ごしでしょうか。
私があなたの前から姿を消してから、もう3年。何も言わず姿を消してしまいすみません。あなたのことだろうから、きっとこの手紙を読んでから、私のことを思いだすと思うけれど、私はこの3年、毎日あなたのことを考えてました。
あの日、あなたが私に告白をしてくれた日、嬉しくて、目を腫らすまで泣いていたことをあなたは覚えているでしょうか。きっとあなたはいま、素敵な女性と巡り会って、素晴らしい生活を送っているでしょう。
実は、先月、凛から、あなたのことを聞きました。肩が少しづつ治っているそうですね。あなたの生きがいかもしれない水泳を、続けてください。それが私の願いです。
宗介、大好きよ。 敬具
短い、短い彼女からの手紙。
中学生活3年間を共にした彼女は、高校2年になったと同時に、俺の前から姿を消した。
あいつのことだ、探して欲しくない時は、何一つ残さず去るはずだ。
3年越しのこの手紙。
''先月、凛から、あなたのことを聞きました''
凛は今、オーストラリアにいるはずだ。
凛から帰国しただなんて聞いていない。
ということは、彼女は今、オーストラリアにいるのだろうか。
「…宗介くん?」
「!、江か…」
「思い詰めた顔してたよ?大丈夫?」
「あぁ…」
……江なら、何か聞いているかもしれない
「江、凛からAについて聞いてないか?」
「…Aちゃん?」
「あぁ」
「確か高3の春にオーストラリアに行ったって言ってたよ?」
どうやら、留学などではなく、親の都合らしい。
なぁ、A
お前にずっと会いたかったなんて言ったら
お前は困るか?
_________
「…困るわけないじゃないっ」
「Aあいたかった」
「…私も、あいたかったよ」
君と、ずっとこれからも。
雁字搦めに 【You'reside】→←コルチカムの願い 【Sousukeside】
5人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ふぐあーと | 作成日時:2018年7月20日 17時